ただ愛する仲 Ⅱ【Hikaru.I】 (ページ49)

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『…どっちが表なの？』

初めてのパック。
顔に貼ろうとしても口について気持ち悪い。

『こんなもん、？』

首にも足にもクリームを塗って、就寝。

明日のお出かけにうきうきしている自分に
嘲笑いながら、少しでも綺麗になってますようにと願った。

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『出かけるね』

「え！デート？ちょっと待って…」

母とバイトの人に声をかけると、
優しいおばさんが口紅を塗ってくれた。

「はい、可愛い！口紅だけで十分なくらい」

『ほんと！？かわいい！？』

「もうすっごい、彼もメロメロねぇ〜」

自分が自分じゃないみたいな強い気持ち。
一歩踏み出そうと足を進めると、母がぐいっと引っ張った。

そのまま服の裾で、私の唇を拭いてきた。

『っえ、』

母「辞めて、あんたは化粧なんてしないで！」

『ちょ、っと…！なんで！？』

母「失いたくないから！」

幼い子に化粧をさせて、あちこち連れ回して…

そう嘆く母の頭には妹がいるのだろう。
大声をあげて母は泣いた。

その場をそっと離れ、近くの待ち合わせ場所まで行く。

途中、涙が溢れたけれど目を擦ってなんとか堪えた。
…その姿を彼に見られているのは知らなかったけれど。

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