ただ愛する仲【Hikaru.I】

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照 side




目を覚ますと知らない場所。
路地…では無かった。




照「いってぇ…」






周りを見渡すと、誰かの家らしかった。





「気がついたか？」


照「っ…」


「念の為、病院に行ったほうが良い
　 ひどい怪我だぞ…」





奥から知らないおじさんが出てきた。
この人が拾ってくれたんだっけ…？




「電話、鳴りっぱなし」


照「…あの、」



顎で指されるのは、俺の携帯。
その後、おじさんはすぐに奥へと入ってしまった。

電話は、妹からの番号だ。




取り敢えず、外へ出た。









…歩くたびに痛さが増している気がする。
近くの電柱に寄っかかりつつ、進む。





「兄さん、」


照「…光莉、何しに来た？
　 病院に居る時間だろ」




真顔で突っ立っている妹の光莉に会った。



光「いらないから、こんなお金」






俺にぶん投げた封筒には、
ばあさんを言いくるめて渡したはずの金。





照「兄からの小遣い。」


光「この暮らしぶりを見て、受け取れる訳ない」


照「っは、元気だったか？」


光「はぁ、電話に出てよ」


照「勉強は？」


光「…その顔はどうしたの？」


照「あ〜…飯は？」





のらりくらりやろうとする俺に、




光「家に戻ってきて」




なんて無理な願いを言われる。







照「…俺の家はここだ」


光「しっかりしてよ」


照「俺はしっかり、一生懸命生きてる」


光「…私の目は誤魔化せないから。」




妹のバッグに金の入った封筒を無理やりねじ込んで
じゃあな、と別れを告げた。



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