ずるい Part2 (ページ10)

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悲しくさせない北斗side ページ10

Aの中の謙ちゃんは俺が思ってるより濃く残ってた

でも話を聞いてもそれでも俺はAのことが好きだったんだ

聞く前と聞いた後は俺の中のAは何ひとつ変わらなかったんだ

ただ謙ちゃんに近づこうとするAじゃなくて

ありのままのAが俺は好きなんだ

京本先輩が聞きたいことを聞けないと言っていたけど

俺は1番に聞きたくなった

『ねえA？...まだ好き？』

聞きたくないけど知りたいんだ

「心の中にまだいるの謙ちゃんが
でもね好きとは違うと思うんだ」

ブランコを揺らしながら少し笑うAの横顔は出会った頃より大人に見えた

ねえAやっぱり俺はAが好きみたいなんだ

『A？俺はさAが前に進めればいいなって思うんだよね
もう聴き飽きたでしょ？』

一度聴いただけなのに苦しくなったあの曲をAは何回聴いたのだろう
焼き付いて離れない想いなんて背負ってきたらいい
俺はそんなこと気にしないから

「え？」

ごめんA
俺って結構重いと思うんだ

『AはAなんだから
俺はどんなAでも受け入れる準備あるよ』

目を丸くしたAは恥ずかしそうに笑ってみせた
ほら
そんな風にころころ表情を変える
分かりやすいAが俺は好きなんだ

あ、そうだ、これだけは言っておこう

『俺は悲しくなんてさせないし』

Aはみるみるうちに目に涙を溜めながら俺を見て少し目を細めたんだ

俺がAを愛すなら悲しくなんて絶対させない

逆にAが俺を愛してくれるならやっぱり悲しくなんて絶対させない

ねえA？俺のこと好きになりなよ

ねえそんな顔で見るなんて期待するじゃん

やっぱとことんずるいよね