まだ言えない 北斗side ページ23
Aが俺の全てを見透かしてるみたいに言うから
Aがあまりにも優しい顔で俺を見るから
薄いブルーのフィルターがかかってもAはとても暖かく見えたんだ
「ごめんねほくちゃん」
Aは目を細めて笑ってそう言うんだ
ごめんって笑って言っていい言葉なの？
なんでそんな目で俺を見るの？
やっぱ俺
「本当のほくちゃんを教えてよ」
似合わないなんてやっぱり嘘じゃん
真っ黒な髪揺らしながら少し顔にかかる前髪から覗く目はやっぱり大人っぽい
『嫌われるかも』
今日の俺はとことんダサい
口から出たのはあまりにも弱々しい言葉だ
「ばかだなあ...っ」
俺の頭に手を置いてAは俺を覗き込むと
「北斗のこと嫌いになんてなるわけないよ」
いつもほくちゃん呼びのくせにAが呼んだ俺の名前を聞いて思わず唇を噛む
『どう？歳上っぽかったでしょ？』
いつもだよいつも大人だよ
いつも俺はAに絶対敵わない
「A....や、甘いもの食べに行こっか？」
Aは笑って頷いた
本当はすぐにでも言いたいのにまだ言えなかったのは
俺の勇気が足りなかったからだ
もう少しもう少しこのまでいいかな？
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作者名：むぅ
| 作成日時：2018年5月27日 22時
