ずるい Part2 (ページ13)

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終わりページ13

「A？」

『謙ちゃん』

さなぴーからちょっと待っててなんて言われた数分後には謙ちゃんがやって来て
にっこり笑って私の名前を呼んだ

「Aどうしたの？わざわざここまで来るなんて
おまけにひとりだなんて」

謙ちゃんは私を覗き込んでふふふと笑うとすぐに私の隣に座ったんだ

『私の問題なんだ』

「A？」

短く深呼吸をして目を閉じた
逃げるように終わらせた初恋をきっちり終わらせたいと思ったのは
生意気な君に出会ったことが大きいかもしれない

『謙ちゃんのこと大好きだったし初恋だった
謙ちゃんは私に誰か大切な人を重ねてたよね？
でもねそれは悪いことなわけじゃないと思うんだ向き合えばよかったのに向き合う勇気がなくて逃げて一方的に終わらせてさ
私って凄い弱かったよね』

謙ちゃんに顔を向けると唇を噛み締めてて
きっと彼は子供のうちに大人になって我慢することに慣れちゃってるんだと
一生懸命我慢するのが当たり前になってるんだと
中学の頃の私は何もかもが子供で謙ちゃんに無理ばかりさせてたのだと
今はっきり感じたんだ

『無理に終わらせたつもりだったのにずっとずっとずっとずっと心の中に謙ちゃんが居て
でもね私も虹を見に行こうかなって思ったから謙ちゃんとどうしても話したかったんだ』

謙ちゃんは一瞬目を見開いてすぐに目を細めて

「A？聞かないの？」

泣きそうな顔になりながら必死にいつも通りに笑ってそう言った

『聞かないよ
でもね謙ちゃん？私に初恋を教えてくれたのは謙ちゃんだからね
謙ちゃんにどうしても言いたいことがあるんだ...恋をさせてくれてありがとね』

謙ちゃんは唇を噛み締めて目に溜まる涙を必死にこらえてた
謙ちゃんから目を背けたのは我慢をして欲しくなかったから
少しして鼻をすすり私の頭に手を置いて

「A？終わらせてくれてありがとね
俺もいつか虹を見に行くね」

振り向けば今まで見た謙ちゃんの笑った顔の中で1番素敵な笑顔で笑ってた

帰り際に謙ちゃんは

「Aの隣の彼全然違和感ないよね
A？大事にしなよ」

きっとほくちゃんのことを言っていた

そんなにほくちゃんの存在感ってあるのかななんて思いながら

初恋を終えて頭と心に浮かんだのは君の顔と君の声だったんだ