訳あり第4章 (ページ46)

今日:17 hit、昨日:18 hit、合計:627,766 hit

ずっと苦しいページ46

「なーんか嬉しそうだね」

「え？」

参拝に並びながら隣に立つジェシーが私を見て呟いた

「いいことあったの？北斗と？」

「北斗？」

「Aって分かりやすいからね」

首を傾げる私にジェシーはにっこり笑うと

「ねえA？俺Aが好き」

「うんそっ………え？」

立ち止まりジェシーを見上げるとジェシーは私の手を握りゆっくり前に進む

「ちょっとずつ進んでるからね」

「そうじゃなくてさっき…」

ジェシーは前を向いたまま少し笑うと小さな声で呟いた

「Aのことが好きだよ」

ジェシーの横顔はあまりにも綺麗で

夜中の神社なのに年明けはやたら騒がしい

目の前の北斗の背中はなんか大きく見えて

騒がしくてもはっきり聞こえた好きという言葉に心臓の音は速くなる

「ねえジェシー？」

「返事はいらないよ
俺がAに言いたくて仕方なかっただけだから」

「ジェシー？」

「今はね
いつか返事ちょーだい
…その時はちゃんと聞けるようにしとくから」

そう言って笑うジェシーはなんだか少し寂しそうで

握られた手をぎゅっと握りしめた私に

「Aって本当ずるいよね
そんなことされたらもっと好きになるじゃん」

ジェシーの言葉は思ってたよりも

ずっとずっと胸が苦しくなったんだ

ただ今少しずつしか進まない列を進みながら

真っ直ぐ北斗の背中を見つめながら

神様に何をお願いしようかとそんなことばかりを考えてたんだ