ネージュに染まれseason3 (ページ38)

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I treasure you. ラウールside ページ38

歳の差はどうして埋まらないのだろう

20代と10代の境目はどうしてこんなに大きいのだろう

目の前の彼女よりどうして俺は10年も遅く産まれてしまったのだろう

考えても答えの出ないことを何度も何度も何度も考えた

「屋上ってなんだか学校の中のようで外な気がしない？」

寒い冬に学校の屋上で白い息を吐きながら俺の横に座るAにやっぱりドキッとする

『空間が違うよね』

「なんでも許されちゃうみたいな？」

んふふと俺を見つめて笑う君へどれほど手を伸ばしても届かない

『パパもママも事故にあったんだ』

空を見上げて目を閉じて出した言葉は自然と口から出たもので

Aに伝えてしまったのはAにたったひとつですら隠し事のようなことをしたくなかったから

『誰も頼る人なんて居なかったんだけどさ施設に入ってめめに出会った』

底の底の底までみたことがあるのはきっと君だけじゃなくて

でもそこでなにかひとつ光が見えることがあるのはきっと君は知ってるよね？

あの日のめめの大きな背中はいつまで経っても大きくて

【乗り越えないと強くなれない
黙って俺についてくればいいのお前は】

そんなめめの言葉は間違いなく一生忘れない

「ラウちゃん？」

Aの俺を呼ぶ声にゆっくり目を開ければ覗き込むように俺を見るAが優しい顔で笑ってた

「綺麗事なんて言わないけどさ
私はラウちゃんに出会えたことが幸せ」

どうして君はこんなに大人なんだろう

「ラウちゃんはわたしにとってものすごく大切」

どうして俺の初恋は君なのだろう

「パパとママをぎゅっと抱き締めたいくらい私は君が大好き」

俺をぎゅっと抱き締める君の背中に手を回しそっと抱き締めた

こんなの

あまりにも神様は意地悪だよね

『Aと同級生だったら俺絶対Aに恋してたよ』

そんな俺の言葉に君は柔らかい声を出すんだ

「奇遇だね私もきっと恋すると思うよラウちゃんに」

ああもう時間って止めれないのかななんて思うんだよね

そんな魔法はどこにもないけどさ

でも俺はきっとこの日のこと一生忘れないんだ