子供じゃない ページ29
「こんな時間におはよう」
『.....おはよの時間ではないけどね』
ソファーに座るひーくんは電気もつけずにイヤフォンをしてスマホを見つめてて
『はぁ.....』
深夜4時に冷蔵庫を開けて取り出したビールが生活習慣の悪さを物語っている
「ため息でかっ」
『なに?聞こえてるの?』
ソファーに座るひーくんはこっちを見ることなく手招きしててもう一度小さくため息をついて素直に隣に座ったんだ
『なにこれ』
「高校生が恋愛するやつ」
『は?』
「んもっはいほら」
雑にイヤホンを片耳にはめられてスマホの画面には制服を着た高校生が初々しくデートしてる姿が映ってる
『うわぁこれ恋愛リアリティショーってやつ?』
「馬鹿にしてたんだけど見たら案外ね」
『ほへぇ』
ビールを一口飲み画面の中で起こってる人の恋愛を見つめながら自分はどこで何を間違って今に至るんだろとか思ったり
翔太の苦しさを知った私は翔太の苦しさを自分の苦しさと重ねてしまったりしてさ
本当私はしょうもない
翔太にちゃんと寄り添うことが出来なくて苦しさを一緒に感じることしか出来ない私は
しょうもない
「A翔太となんかあった?」
『え?』
ひーくんはやっぱり画面を見つめたまま呟いて私はそんなひーくんをチラッと確認して嘘をつくんだ
『なんもないよ』
そんな嘘必要ない嘘なのになんで嘘をつくんだろ
あの日から蓮のところに行くのも気が引けてまともに寝れてもないくせに
なんもないのは嘘のくせに
「そっか」
ひーくんだって気付いてるくせに優しい嘘をつくんだ
手を繋いでもいい?なんてイヤホンから女の子の声がしてスマホの画面の中では女の子が男の子の顔を覗き込んでいる
「いいね青春って感じ」
『たしかに』
ひーくんの言葉に頷けばひーくんは私の顔を覗き込み私の手をぎゅっとした
「俺は聞かずに繋いじゃうけどね」
真剣な目で真剣な顔で私を見つめるひーくんに唇を噛んだんだ
『ひーくんもなんか抱えてる?』
小さな声を出せばそっと私の耳からイヤホンを外し自分の耳からもイヤホンを外す
「秘密かなそれは....今のAにはまだ言わない」
大人の恋は難しいよね
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作者名:むぅ | 作成日時:2019年10月24日 0時