掴んで握って ページ24
「行かなくていいの?」
『触れて欲しくないことには触れない方がいいでしょうよ』
「それは聞いてみなきゃ分かんないじゃん」
『聞いた後だと遅くない?』
「つべこべ言ってないで行きな
あとさ、大我もいい大人なんだしAの傷を増やす必要はもうないよ」
『こーち?』
「俺はAが自分のことを大切にしてくれることが一番幸せかも」
『....なんだよそれ』
「まあ俺って何気に一番にお前に振られてるからね
まあほらまたいつでも呼んでよじゃあねA」
私の頭に軽く触れると優しく笑った高地は私に背を向けて駅へと向かう
高地の優しさに救われた回数を数えればきりがないほどに高地には救われてることは昔も今もちゃんとよくわかってる
『ありがと』
小さめの声で呟いて私も高地に背を向けたんだ
『しょーた』
三日月が綺麗に見える空の下で翔太の後ろ姿に声をかければ翔太は頭をかいて笑う
「.....なにお前見てた?」
『ごめん』
「ん、いや別に」
ゆっくり振り向くと私の目を見つめながら翔太は真剣な顔してそっと私の服の裾を掴んだんだ
「頼むわ今日はそばにいて」
服の裾をそっと掴まれることでどれほど心臓がぎゅっとするのかをこの時初めて知った
男の人ってこんな気持ちを毎回してるのかなってさ
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作者名:むぅ | 作成日時:2019年10月24日 0時