証明は俺が 目黒side ページ3
「Aって最近なんかあった?」
ジェシーくんがAの名前を出すことは今までなくて
正直少し驚いた
『え、いや分かんないですね』
「そっか」
グラスを拭きながら少し難しい顔をするジェシーくんを見て逆に質問したのは俺
『なんでですか?』
ジェシーくんは俺をちらっと見るとふっと笑うんだ
「好きなの?Aのこと」
『え?』
「対抗心むき出しな顔してるよお前
安心して俺はとっくの昔に諦めたから」
じゃあなんでそんな難しい顔してんだよなんて口から出そうとしたのにさ
「少しでも相手が傷つくかもなんて思うこと言える奴でもそんなことが出来る奴でもないんだよAは」
『え?』
「俺の知ってるAはね
自分を責めて責めて責めて相手が求めてることや求めてる言葉を考えて考えてやってんの
...樹を切ることなんて出来なかったはずなんだよ」
言葉の節々にどこか棘があるのに優しい顔してるからなんにも言えなくて
「Aが変わろうとしてるなら俺は応援するんだけどさ」
『ねえジェシーくんこそ好きなんじゃないの?』
眉間に皺を寄せて俺は言葉を出したのにジェシーくんはふんわり笑う
「恋も愛も目に見えないもの全て信用してないし目に見えるものすら信用できない
けど俺のことは傷つけたくないって泣きそうな顔で言われてるからね俺」
昨日のことみたいに鮮明に言葉を紡いだジェシーくんを見てまるで自分が言われてるみたいだったけど
『じゃあ証明して信用させたらいいってことですね』
思ったことを口にする俺の悪い癖に
「大正解」
ジェシーくんは目を細めてにっこり笑ったんだ
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作者名:むぅ | 作成日時:2019年10月24日 0時