ネージュに染まれseason3 (ページ16)

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さよならの前にページ16

北斗の部屋で北斗の匂いに包まれながら北斗へさよならをすることを決めたのは

紛れもなく私だ

「いきなり来るなよびっくりした
あー、コーヒー飲む？」

『いい...北斗話しがあるんだ』

「あーケーキあるけど食べる？」

『いいって北斗ちょっと座って』

「アイスもあるけど」

『北斗？』

ソファーに座りながらキッチンに立つ北斗を見つめれば北斗は頭をかいて私を見た

「聞きたくない」

さよならをする前に

さよならを言う前に

泣きたくなるのは何故だろう

『北斗？あのね...』

「やめろって...いいよ会うのも前より少なくてさ俺から連絡も控えるしさそれに」

北斗の言葉を遮ったのは北斗にこれ以上私への時間を費やして欲しくなかったから

『北斗違うんだよ...北斗？私さ北斗には沢山沢山沢山感謝してていつもいつも北斗は私を愛してくれた』

「なら...」

『でも違うんだよ私たち
前に進まなきゃ。だからさ北斗も前に進もう』

「俺は.........ってお前が泣くなよばか」

キッチンに立つ北斗が霞んで見えて歩いてきた北斗はぎゅっと私を抱き締めた

『ほ.....っく』

「もうこうやってAだけをこんな風に抱きしめることも愛してあげることもAだけを好きでいることもないんだよ？」

『..........っほく...』

「はぁ.........うん.......何年一緒にいると思ってんだよ
終わらせるよ俺から」

北斗はぎゅっと抱き締めた腕をゆるめて泣きじゃくる私の頬に手を添えると優しい目で私を見つめるんだ

「A愛してるよ......さよ...なら」

そっと重なる唇に目を閉じた

さよならが言えなかった私の代わりに北斗が言ったさよならは震えてて

さよならなんて言葉を作ったその人はどんなに悲しくて辛い思いをしたんだろうと思ったんだ

北斗のさよならはきっと私が死ぬまで心の中で生き続ける

それが君にできる最後の私の愛の形だよ