暗闇で声にして 目黒side ページ30
『あ、待ってちょっとビビってきたわ』
「は?ほんとふざけないでよばか」
『暗くねだってさ』
「バカじゃんお化け屋敷だよ?
誰だよ余裕って言った奴は」
『分かった分かった余裕だってうるさいな』
「蓮ほんとに前歩いてね私蓮が止まったら死ぬからね」
『分かったってほら行くよここ捕まっとけよ』
お化け屋敷
ほど
密着できる空間ってねえよ
神様が味方したのか俺とAのレシートの裏には【5】とラウールの字で書かれてた
でもさ逆にだっさいとこみられたらおしまいだよね
俺の腰に手を回してぎゅっとするAはいつもより小さく感じる
Aの甘い香りが染み付くくらい密着してて
お化けさえ出て来なきゃ完璧なのになとか思ってみたりして
『えっうっわビックリしたあ』
ところどころでビビらせてくるこの空間に少し大きめの声を出せば
その度にAは俺の背中にぴたっとくっつきながら
「ねぇもぅやだ」
「蓮お願い離れないでね、ね蓮?」
とか言ってるし
うわあこれほんと他の人にされたら俺嫉妬で狂うかもとか中盤で考え出したら
お化けとか正直ちょっとどうでもよくてさ
『A?』
「えっ?なぁに?ねぇなに?やだやだやだ」
足を止めた俺にAはやたらとビビりながら俺の服をぎゅっともう一度掴む
『Aって彼氏はいないよな?』
多分
こんなお化け屋敷の中で
多分
こんなこと聞く人間なんて
そういないけどさ
どうしても白黒はっきりそこはさせたくてさ聞きたかったから聞いただけ
ぎゅっとするAの手に俺の手を重ねるとAは俺の手をぎゅっと握ったんだ
「ねえばかなの?いるわけないじゃん」
うっわ真っ暗でよかった
多分俺今すげえにやけてるわ
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作者名:むぅ | 作成日時:2019年9月14日 1時