ネージュに染まれseason2 (ページ28)

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可愛い×佐久間ページ28

「え、じゃあAスマホ忘れたわけじゃなくて置いてきたの？」

『そうだよ』

「そっかそっか」

隣を歩くさっくんは少し考える素振りを見せて何度か頷くと難しい顔をした

「Aは捨てたいのに捨てられない何かがあるんだね」

『なにそれ？そんなものないよ』

「じゃあ電話番号ごと変えればいいじゃん？」

『それはさ』

「出来ないでしょ？そういうことなんだよきっと」

『さっくん...』

その通りだよ

長年続けてきたんだよこの依存関係

簡単に消えるわけなんてないし

消せるわけないんだよ

辿ってきた道が消えることなんてなくて

ラウちゃんのいうような真っ白になることはきっとないんだ

人との距離は

難しい

近づきすぎたら何か壊れて何か失う

「A？」

『ん？』

「考えすぎないようにね頼りたい時に頼りなよ」

『さっくん』

「みんなAが可愛いくて仕方ないだけなんだからさ」

近づきすぎたら失うものがあるはずなんだよ

今まで失うものより得るものの大きさを考えてたはずなのに

得るものより失うものの大きさを考えるようになったのは何故だろう

『みんな優しすぎるよね』

ふわっとなびく風に私の長い髪が揺れた

「Aが可愛いからだよ」

さっくん？私可愛いくなんてないんだよ

心の中で呟いてさっくんに笑ってみせたんだ