ずるい (ページ8)

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大人っぽいページ8

いつもの席でいつも通りイヤホンを耳に入れいつも通り本を開く

いつもと違ったのは曲が終わった瞬間に図書室の扉の開く音が聞こえたこと

ゆっくり顔を上げるとばっちり図書室の君と目が合って君はもの凄く優しい顔で少しだけ頭を下げて笑ったんだ
ゆっくりと私に近づいて来て思わずイヤホンを外すとふふっと笑い

「隣いいですか？」

なんて相席するみたいにご丁寧に聞いてきて

『あ、どうぞ』

鞄を机に置き直す私にもう一度ふふっと笑うと私の横の椅子にゆっくり座り

「松村北斗です」

私の顔を覗き込み名前を名乗ったんだ

『あ、Aです私』

「Aさん」

君から名前を呼ばれるのは何故か無性にくすぐったくておまけにさん付けだなんて余計くすぐったい

『さん付けされる様な人間じゃないです』

「それどういう意味？
それになんで敬語なんですか？」

『さん付けで呼ばれるの慣れてないからです
え？あ、敬語で話されると敬語になるのかな？あれ』

「何それ？じゃあなんて呼ばれるのが慣れてるんですか？」

『えーとA』

「そっか...
なら俺もAって呼んでいいんですか？」

君は目を細めて私を見つめててやっぱり高校1年生にしてはあまりにも大人っぽい
頷いた私ににっこり笑い鞄から本を取り出した

『あ、敬語も要らないです』

咄嗟に出た私の言葉に君はふふっと笑い

「じゃあAもそのたどたどしい敬語やめてくれる？」

だなんてやっぱり君は高校1年生には見えないんだ