ずるい (ページ2)

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初めて北斗side ページ2

「ねえさっきの人ってかの有名なAさん？」

樹は俺の前の席に座ると食い入るように俺を覗き込む

『あ？名前知らないもん俺』

「お前っAさん超がつくほど有名なAさん知らねえの？」

『あ？』

「3年で超がつくほどの人気を誇り
1年入学直後から先輩達から告られまくるも2年間全て断り続けて
おまけに常に右隣には学年一美男子と有名の京本大我がいるから本当は2人はデキてるんじゃないかとまで噂されそれをさらっと
誰が言ったのそんな嘘？
なんて言葉で否定したとついこの前話題になってた」

『ものの1ヶ月でそこまで情報仕入れる樹のこと尊敬する』

俺の言葉に樹は笑うと

「初めて見た生」

『人のこと食べ物みたいに言うなよ』

樹は声を出して笑いほら帰るぞ～なんてブツブツ言いながら立ち上がる

入学してすぐ図書室に通うようになった俺は樹よりとっくの昔に彼女を見かけてた

不定期に現れるのにいつも席は同じでここの本を読む時もあれば自分の本を読むこともある
失礼だけど本を読むような外見には見えなくて最初彼女が手に持っているのは絵本かと疑ったくらいだ

着崩した制服のスカートはやたら短く
少し前にに変わった髪色は綺麗なミルクティーのような色で
目にかかるくらいのうざったそうな前髪をたまにかき分ける仕草は高校3年生にしては色っぽい
そして毎回本を閉じた後3秒くらい目を閉じるんだ
少し長めのまつ毛の影が映る横顔はやたら綺麗なんだ

彼女をここで初めて見かけた時読んでいる本のタイトルを見て一瞬目を見開いた

だってそれは俺の大好きな本だったから

彼女と初めて目が合った今日俺の心臓はうるさく音を立て続けたんだ