迷子の初恋 (ページ46)

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魔法ページ46

「自分の家に帰りたくないとかそんなことある？」

照は目尻に皺を寄せながらくしゃっと笑う

『私最低』

心で思ってることを口にすると一気に力が抜けた

「なーに拗らせか？」

『そんなのじゃなくて』

照のベッドに埋れれば照はため息をつきながら私を見つめる

「全部素直になれよ」

『なりたいのになれないんだもん』

「翔太にも全部全部言ってやって
彼にも勿論ねAが思ってること全部まるっと言ってあげな」

照の言葉に唇を噛んだのは照があまりにも私の目を真っ直ぐ見つめてきたからで

翔太の顔が浮かんで苦しくなったのに樹の顔が浮かんでもっともっと苦しくなったから

『できないよ』

強がってるだけで本当は心底弱い人間なのだと皆きっと私のことをそう思ってて

それは間違いなく事実なんだ

「Aってさ優しくない優しくないって自分のことすげえ嫌な奴みたいに言うけど
ある意味優しくねえよな」

そんな照の言葉は刺々しいのに照の声があまりにも優しいから次に出る照の言葉をただ待つことしか出来ないんだ

「自分に優しくしてあげたら見える世界変わるかもよ？
そんな嫌な奴ぶんなくてもさ、もう強がんなくても別にいいじゃん」

照は何度も何度も私に魔法みたいに温かい言葉を紡いできた

一度くらい言うことを聞いてあげてもいいじゃん

そう思ったから

翔太に連絡したんだ

今日は遅くなるけどちゃんと帰る

って樹に連絡を入れたのは

照の魔法が効いたからだ