迷子の初恋 (ページ33)

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気づかないふりページ33

「俺のトレーニング見守る趣味なんかAあったの？」

『ない』

「じゃあ何？ずっと黙って見てるけどさ」

『…照はなんも言わないけど』

しゃがんだまま顔を上げて照を見つめると
照は汗を拭きながら私を見つめて

「Aが前に進むの俺が止めるわけないでしょ？
俺の気持ちに気付いててAに気付いてないふりし続けさせたの間違いなく俺だしね
それにさ俺は残念ながらAには振り向いてもらえないわけだしね」

少し笑うとスポーツドリンクを飲み干して
眉を下げた私を見て照は同じように目の前にしゃがみこむと

「Aはもっと自分に優しくなった方がいいよ
人には優しすぎるけど
自分には厳しすぎるから」

『照もじゃん』

「男はそれでいいけど女の子はそうじゃない方がいい」

『わかんないなそれ』

「Aも自分のことだけ考えなよ」

照は笑いながら私の頭にそっと手を添える

「俺や翔太のことじゃなくて自分のことだけ考えな
じゃないと俺諦めつかないじゃん
な…」

照はちょっと眉を下げたけどやっぱり笑ってて

私が気付かないふりをしてただけなのに

それを自分のせいにする照はとことん私に甘くて

とことん私に優しいんだ

『照って優しいよねいつでも』

「Aにだけだったけどね」

なんて照はやっぱり大好きな幼馴染