迷子の初恋 (ページ22)

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まともな人間ページ22

「ひとりとかやっぱすげえ珍しい」

『私の周りにいる唯一まともな人間に会いたくなった』

私の言葉にさなぴーは少し笑うと慣れた手つきで注文する
さなぴーは翔太や照と同い年で友達で私の先輩
さなぴーは私の今まで知ってる人の中で唯一私とは全く違う人間だ

「なんかあったから連絡したんだろ？」

『とくになにも』

「嘘やっぱ下手よな？
じゃなきゃお前が1人で俺と飯行くわけないでしょ」

さなぴーは触れるとこと触れないとこのバランスが絶妙で
運ばれてきた烏龍茶を一口飲んで口を開く

『変な奴と知り合った』

「まともな奴なわけね」

『きちがいだけど』

「普通なわけね」

『いちいち言い直すのやめて』

私に笑ったさなぴーは私の話しを一通り聞き終わると
ビールを美味しそうに飲み干して

「預ければいいんじゃない？」

『いや、だから』

「だってもうお前響いてるもんそいつの言葉
そういう奴の真っ直ぐな言葉が刺さる時に飛び込まないと
お前はもう本当に変われねえよ
本当に腐ると刺さらなくなるから」

眉間にシワを寄せた私を見てにっこり笑ったさなぴーは

「言われた言葉やそいつの顔が頭に残ってんだろ？
お前はお前が思うほど腐ってねえし
失うもんなんてなんもねえんだから飛び込んでみたらいいじゃん
それで失敗してもどうせ元に戻るだけだろ？」

『あんな綺麗な人私なんかと関わったら傷つける傷つくことになる』

「傷つければいいじゃんそんなの
まあでも多分そいつにとってはお前がこれ以上傷増やすことの方が傷つくと思うけどね
お前さ本当はすげえ優しいだけなんだよな」

ずけずけと立ち入ってきてるようで

わりとすんなり聞く耳をもてるのはさなぴーだからだ

ずっとずっと私より大人で愛を知ってるさなぴーだからだ