迷子の初恋 (ページ20)

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羨ましいページ20

『だるっ』

自販機からコーヒーを取り出して呟くと私の声に反応した声が後ろから聞こえた

「お久しぶり迷子ちゃん」

ああ北斗くんか確かに久しぶりだ
樹に会いたくなくてひたすら避けてたようなもんだから
この人にも会いたくなかった
柱に寄っ掛かる私の横にスマホをいじりながら立つ北斗くんは

「こいつにも会いたくなかったなって顔してる
わりと分かりやすいよね顔にでるとことか」

『そうですかね』

北斗くんはスマホから目をそらすことなく私に話しかける

「逃げ続けるの疲れない？」

『ん？何年もこれだからね』

「樹みたいな奴に出会ったことは初めてだろ？ああいう真っ直ぐな奴から逃げ続けるのってなんか疲れない？」

『希少な人間だよね』

私の呟いた声に北斗くんは少し笑うと

「お前も十分希少だと思うけどね」

『褒めてないよねそれ』

「俺ねお前ほどじゃないけど腐りかけた時にあいつがそばにいたんだよね」

『北斗くんとは違うからね私』

「根っこは変わんねえよ」

北斗くんを見るとスマホを見つめながら優しい顔で笑ってて
私の視線に気づいた彼はゆっくりと私を見つめると

「樹に救ってもらってから逃げ続けてたものにも触れたから最終的には自分の意思だよね
助けてもらったぶん助けるなんて綺麗事は言えないけどそのぶん支えることは出来るから」

私にはそんな人いなかった樹が北斗くんが少しだけほんの少しだけ羨ましく思えたんだ