迷子の初恋 (ページ14)

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所詮ページ14

『いや、無理』

「こっちも無理」

『あ、先約あるし』

「なら先約は断って」

『バカなの？何言ってんのほんと』

「ルールは破るためにあるって
お前に聞いたんだけど」

言葉は雑なのに言い方や話し方があまりにも優しすぎる樹は
前に私が言った言葉をさらっと出してくる
隣の翔太は何も言わずただただスマホをいじってて

「その先約でお前の迷子が解消されるならそっちに行けばいい
でもそうじゃないなら俺に時間ちょーだい」

私を迷子だという樹はおそらく見透かしているのだろう

私がどれほど汚くて

どれほど腐ってるのか

ただそれは君の思う想像以上

断って消えようとした時

北斗くんは私を見つめて口を開いた

「迷子が続くのは自分でその道を選び続けてるからだろ？
ここでいいんだって自分で諦めてるから
人のことだし別にどうでもいいけど手を差し伸べられたことないだけだろ？
今差し伸べる奴がいるんだから触れてみるくらいしてみれば？
俺はそれで変わったから」

手を差し伸べられたことはある
ただそれがどんどん汚れていく方だった反対方向だっただけ

樹のような人からは差し伸べられたことなんて確かにない

触れるだけなら簡単なのか？

『肉が食べたい』

「りょーかいなら後で」

樹はにっこり笑ってノートの切れ端を私に握らせて北斗くんと樹は立ち上がり立ち去った
翔太は笑いながら私を見て

「本人の前でドタキャン？」

『約束したわけじゃなくない？』

「変な奴だなあいつ」

『ちょっとねまあ所詮その辺の奴らと変わんないでしょ』

「そうか？世の中お前が思ってるより腐ってねえだろ」

殴り書きで書かれた連絡先を見て

私が絶対連絡すると思ってるのだろうかと鼻で笑う

少し触れてみてもいいかもと思ったのは

所詮君もその辺の奴らと同じだということを確認したかったから

私は変われないのだと実感したかったから

ただそんだけだ