迷子の初恋 (ページ12)

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君に...樹side ページ12

名前だけ知れた彼女は

世界に居場所がないような

そんな冷たい目をしてたけど

手を振ると手を振り返してくれるし

きっとAはなにも知らないだけなんだ

女の人がヒステリックに声をあげ
静まり返ってる学食で
わりと近めの席だから
小さめの声も聞こえて

「付き合ってはないよね？」

「地雷踏んだな」

高地は小さく呟いて

「確実にねあいつ素直すぎ」

京本くんは少し笑ってる

「ここですんなよ」

北斗は興味なさげに呟いて

大学生の鏡この前渡辺くんと教えてもらったけど

その渡辺くんの素直に呟いた姿の横にはAが座ってて

「付き合ってない？
私は付き合ってると思ってたのに遊びだったってこと？
ねえふざけないでよ」

声は響き渡る

「遊びだったんだろうね」

京本くんの呟いた声の後やけに冷静な声が聞こえたんだ

『遊ばれてたって少しは自覚あるなら遊びだったんでしょ？
だったらそれらしく行動すれば？
恋人じゃないんだから』

声を出したのはAで

女の人はもっと怒りながら

「あんたは翔太のなに？なになわけ？」

なんて声をあげて

『私は…』

答えようとしたAを渡辺くんが少し大きな声を出したことで止めた

「間違いなくお前より大事な存在だけど？なんか文句ある？」

相変わらず顔は優しくてヒステリックな女は立ち去った
京本くんはAを見つめると

「あの子の言ってること間違いないけどあそこまで冷静ってどうなの？」

高地は少し眉を下げてその言葉に答える

「やけにねやけに理解ある感じ」

なんでそこまで

人に関心ないんだろ？

何も分かってない君に

教えてあげなきゃ

そう思ったのは

俺が君に惹かれたから

俺が君に愛を教えよう