訳あり (ページ42)

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生活の一部北斗side ページ42

ソファーで本を読んでると勢いよく彼女の部屋が開いた

まだ13:00珍しい

もはや昼に起きるのが珍しいと思う
俺もどうかと思うけど
おまけになにが珍しいって
彼女が電話をしている
樹達からの連絡がうっとおしいと
ほぼ電源を切っている彼女だから尚更珍しい

そんな彼女はいつも通り
俺の隣に座り
俺に寄っかかる
もうこれも1ヶ月以上続くと慣れてきて

ただそれにしても隣に座った彼女は不機嫌で

「だから嫌だって言ってんじゃん
てか昨日電源付けっ放しだったから
おかげで鬼ほどかけてきた
バイブの音でまだこんな時間に目が覚めた
ほんとさいあく」

目を閉じながら起こされたことに関してすげえ勢いで怒ってる

「いやだ
むり
却下
絶対いや
えっ………
んーーーー」

少し声色が変わると
彼女は心配そうな声を出した
俺はそんな彼女をチラッと横目で確認すると
彼女は目を開けて難しそうな顔をした後

「わかったすぐ行く」

そう言って電話を切った

「出かけんの？」

俺が本を読みながら聞くと

「寂しいの？」

俺の顔を覗き込んできた

「あ？」

眉をしかめる俺を見て

「うそうそかまってちゃんに呼ばれた
まったくめんどうだね～」

俺の頭をクシャッとして洗面所へ向かう髪を直しながら寂しいなんかあるわけねーだろ？

なんて考えながらコーヒーを淹れる

少しすると珍しくメイクをしていてお出かけ用の服を着て部屋から出て来た

彼女はソファーに座る俺の側まで来て俺の頭を撫でると

「北斗のご飯までには帰るからね行ってきまーす」

家を出て行った

なんだよまじ
もう俺の中で彼女の存在は生活の一部になってんだ
珍しく家にひとりになって彼女の存在は
当たり前になってることを実感する

「早く帰ってこいよ」

誰もいない部屋で呟いた