訳あり (ページ32)

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頼りたい北斗side ページ32

取り壊しね正直困るんだよな安くて便利だったし
どうしようかなまじでなんてアパートの前に立って考えてたら

いきなり雨が降り出した
早く入ろそう思った時に
ひまりの声がして俺に傘を傾けながら立っていた
用紙を隠して早く帰るように言い階段を登っていたら

「家来たらいーじゃん」

なんて彼女の声がした見られたかってのととんでもない彼女の提案に足を止めて振り向いた

「は？何言ってんの？」

俺が低い声を出したのに彼女は俺を真っ直ぐ見て

「は？ここ住めなくなるんでしょ？
だから家来れば？って言ってんの」

「は？だから何言ってんの？」

俺がもう一度同じ質問をすると彼女は眉間にシワを寄せながら

「は？だーかーらー住むとこなくなんじゃん
この辺家賃高いじゃん家部屋１つ余ってるからだから来ればって言ってんだけど」

真っ直ぐ俺を見ながら言ったあまりにもストレートすぎて少し間が空くと

「あ、家別に私しかいないし家賃もいらない部屋もある
行くとこなかったら来たらいいそんだけ
じゃあね～」

そう言って去って行った俺は少しその場に立ちつくし
彼女の姿が見えなくなってから部屋に入り座り込んだ

ばかだろあいつ

でも確かにあいつの言うことは一理あって
家賃も高いこの辺じゃ正直今の家賃で住めるとこなんてない
それより家に一人って本当少しは危機感もてよ

「感覚ズレすぎだろ」

呟いて笑った
けどあいつの言葉は同情とかそういうの一切ない
でもなんか優しくて俺の知ってるくそ女とは違うそんなのとっくに分かってたけど

頼ってみようかなんて

いや、違うな俺が

頼りたいんだろうなきっと

取り壊しのお知らせ

その紙を握りつぶしてゴミ箱に捨てた