訳あり (ページ14)

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ゆるめページ14

「おいっおい」

近くで声がして目を開けるとさっきの彼が覗き込んでいた
距離が近すぎて勢いよく離れようとしたらバランスを崩し後ろにそのまま倒れこみそうになる
ギュッと目を閉じた

ん？

痛くない
目を開けると彼が腰に手を回しさっきよりも近い距離で今度は抱きしめられた状態になっていて

「危ないから」

そう呟いた

「ありがとう」

「あ、待て」

彼は私に少し寄ると私のポケットから煙草を取り出して自分のポケットに入れる

「没取しとくわ」

そう笑う

「あ、あとそれ下手くそだし開けすぎね」

付け加えたあと私にまた少し寄る
私のネクタイを解きボタンを１つ閉めた
少しきつめにネクタイを締めようとした手を私が止めた彼は少しびっくりした顔で私を見てて

「もうちょいゆるいほうがいい」

彼の目を見たんだ

「わがままだなこれでも充分ゆるいけど」

なんて笑ってさっきよりゆるめに慣れた手つきで締めてくれた

急に恥ずかしくなった私は立ち上がり屋上の扉までダッシュして屋上から出た
扉を閉めてため息をつくとチャイムが鳴る

でも肩痛かっただろうな

もう一度扉を開けると彼は立ち上がって上を見上げていてすぐにこちらへ振り向き首を傾げた

「ありがとう」

一言だけ呟いて扉を閉めた
お礼なんて言うの慣れてないしきっとちゃんと笑えてもないよな

階段を降りながら

さっきのことを思い出すと

心臓がドキドキした

てか、やっぱ無理きつい

彼の閉めたボタンは

すぐにまた私が開けたんだ