赤信号は変わらない ページ38
家に入ればすぐにお風呂に行けと言われお風呂から上がれば
ソファーに座る翔太は自分の股の間を空けてここに座れと言わんばかりに顎でしゃくってみせた
丁寧に髪を乾かして時より私の髪に指を通す翔太はなんだか小慣れてる
渡「あとでもう少し首詰まってるTシャツに変えとけよ」
翔太の両足の間で大きなラグの上に座る私はゆっくり向きを変えて翔太を見上げた
『消えたと思ったのにまたついたや』
雨に打たれたせいでぽろっと言葉が出ただけだ
渡「痛々しいからやめろよ」
『...そだよね』
前髪を触って笑ってみせれば翔太は私についた痕に優しく触れた
渡「痛くない?」
『大丈夫』
渡「見てて痛い」
『ごめんね』
渡「やだ」
『やだってなに?」
笑って翔太の手に私の手を重ねると翔太は私の手を握ってみせる
渡「こんなのつける奴も嫌だしつけられる奴も嫌」
『うん』
渡「でもお前のことは嫌じゃないのよ」
『嫌でもいいよ?』
繋がれた手をそっと引き寄せると翔太は私の首元に顔を埋める
渡「なんだよそれ」
『翔太が思ってるより私嫌な奴なんだよ
翔太が思ってるよりもっと最低だし
翔太が思ってるよりもっともっとめんどくさい』
渡「うん。でも俺ね多分お前のこと嫌にならないって分かるわけ」
『翔太?』
渡「だめだわ俺余計なこと言いそう」
『意外と冷静だ』
首元でふふっと笑った翔太はゆっくり立ち上がり私を見下ろした
渡「お前は最低かもしれないけど俺にとっては最低じゃないからさ
今日みたいな顔で帰ってくんなよその時は連絡して」
『ん?』
ゆっくり翔太の手が私の頭にのってやっぱり翔太は笑ってた
渡「俺が迎えに行くからその時は」
さっき雨に打たれたばかりなのに全身があったかくなった気がしたんだ
『おやすみ翔太』
ごめんねを言わずにありがとうも言えなかった
翔太の優しさに甘えるわけにはいかなくて
だって翔太は私なんかのためにそんな言葉使わなくていい人だから
翔太と私はやっぱり違うから
残ったリビングでそっと痛々しい痕に触れ目を閉じた
私は前には進めない
違うな
進まないんだ
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作者名:むぅ | 作成日時:2019年8月20日 0時