ネージュに染まれ (ページ11)

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雫は滴れるページ11

自分のシャンプーよりいい香り

自分のボディソープよりいい香り

ふわふわのバスタオルで身体を拭きながら

まるで女子力の塊

ここは男ばかりのシェアハウスなはずなのに

鏡に映る自分を見て汚いと何度思っただろう

洗っても洗っても汚くて

拭いても拭いても綺麗にならない

どうして私だけ...バスタオルで身体を拭き続けまるで擦るように1箇所を摩り続ける

ガチャッ

「うわっ...えっ」

脱衣所の扉が開いて目の前には初めて見る顔がある

あ、鍵かけときなよって言われたな～なんて目の前の彼を見つめながら呑気にふっかの言葉を思い出した

『ごめんなさい鍵かけ忘れてました』

少し頭を下げた私に彼はゆっくり近寄った

『なに？』

「いや、擦りすぎでしょ。腫れちゃうからやめな」

私の長い髪から滴る雫が近寄った彼の手に落ちた

『...汚いから』

真っ裸を初対面の人に見られてもなんにも感じないなんて私は女子失格だろう

ただ裸になるとバリアが全部消えたみたいに弱さが外へと滲み出る

「どこがだよ...ほらっ服着な早く
風邪引いちゃうよ」

彼はバスタオルを私の手からとると頭の上から優しくかけて目線を合わせるようにゆっくり屈む

「シャンプー俺の使ったでしょ～次からもそれ使いなねお揃いじゃん」

優しく微笑むと彼はゆっくり背を向けて脱衣所の扉を開けた

『名前っ』

呟いた声は小さかったのに彼はゆっくり振り返ると私の目を真っ直ぐ見つめてやっぱり優しく笑ったんだ

「蓮」

ゆっくり閉まった扉を見つめながら

真っ暗な闇にじゅわっと広がる何かをその時少しずつ感じたんだ