特別 (ページ33)

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「も…もしもし」

「なに
なんでそんな恐る恐るな訳？」

聞き覚えのある声で
すぐに分かって眉をしかめた

「なんだ北斗か」

大我は一瞬私を見るとすぐに視線を戻した

「は？お前名前でてただろ？
まあいいや
明後日暇？」

「名前？ん？明後日？
あー明後日なんもない」

「だろーね
明後日時間ちょーだい」

「は？」

そう声が出て眉をもう一度しかめると
何故か大我が声をかけた

「A？」

ん？私は声に出さずに大我を見て首を傾げると
大我はふふって笑って目をそらした

「………
あー迎えに行くから
11:00なー
またメールするわ」

北斗は少し間をあけて
さっきより声のトーンを下げた

「ちょ…」

切られた

一方的に切られた

スマホを耳から離して

真っ暗な画面を見つめた

「終わった？」

大我はにこって笑って

私を見た

スマホをすぐにポケットに入れようとすると

その手を大我が掴んだ

「ん？」

首を傾げる私に

「俺Aの連絡先知らないからさ」

ってもう片方の手で自分のスマホを取り出してカウンターに置いた
北斗の時と違って
大我は器用に２つのスマホを操作して
一通り終わると
私のスマホをポケットに入れてくれた
これでいつでも俺も誘えるね
なんて付け加えて

目の前のミモザを一口飲んで

もう一度大我を見ると

連れてくんじゃなかったな

って聞こえないくらい小さい声で呟いた

その綺麗な横顔を見て
大我ってこんな顔してたかな？
大我ってこんな男っぽかったけな？
って出会った時の大我を一生懸命思い出してた

「ねえあの時さ」

大我はゆっくり話し出して

「ん？」

そう首を傾げる私に

「あの時、初めて俺がAに会った日
あの日俺彼女にフラれた直後だったんだよね」

知らなかったそんなこと
今まで一回も言わなかったし
出会ったその日もそんなこと言ってなかった

「ださいからさ…言い出せなくて
しかもフラれた挙句あんな大雨降って来て
最悪だなってどうしようってそう思った時
ここにしよってドア開けたらさ
びちょびちょな俺を
不器用に笑って入れてくれて
俺間違ったかな？なんて思ったら
頼んでもないのにすぐホットミルクなんか
出してきたじゃん」

そんなことあったなあって

うなづいて彼を見ると