第27話 ページ28
.
◎たらこside
あんなものはただのブラフである。
ああでも言わなきゃぐちさんは動かない。
きっと今頃、頭を抱えてるだろう。
『今日は何食べようかな〜』
「俺ラーメンにしよーっと」
また〜？と言われながら、Aと食堂へ向かう。
.
Aは食べ終えるやいなやスマホを取り出し何かを読み出した。
正面で麺を啜っていた俺と会話もせず、スマホに夢中になっていた。
「何読んでんの？」
『ん？あ、これ！最近少女漫画読んでんだよね〜』
珍しい、少年漫画大好き人間なのに。
読みながらニコニコ微笑むA。
『はぁー...いいなぁ、こんな恋してみたいよ』
「いないの？好きな人」
そう聞くと、さっきまでだらけていた身体をスッと正して全力で否定している。
『い、いないいない！いるわけないよ！』
自分で聞いておいて後悔した。
いると言ってるようなもんだろ。
『た、たらこは！いるの？好きな子』
慌てて話題を逸らそうとする。
「...あー、実らないけどね」
『え！？いるの？どんな子？』
「言わんわ」
そう言って、食器を下げようと立ち上がった。
その様子を見て慌ててAも食器を持って追いかけてきた。
『えぇー、でもたらこもいるんだ』
「"も"ってことはAもいるんだね」
『え！？ちがっ...私のことはいいから！
...そうだ、その子とは上手くいきそうなの？』
「んー、」
そこまで言って、頭の中にいろいろ飛び交った。
もう結果は分かっているのに、どこかそれを否定したくて。
そうであって欲しいと願いつつも、違って欲しいとも思ってて。
でも、もし...
「俺が上手くいくってことは、
その子が上手くいかなかったときだから」
「俺はそれを望んでないから」
『たらこ...』
そのときタイミングよくチャイムが鳴った。
あぶね、この空気まずかったろ。
「やば、急がないと」
慌てて走り始める。
この後はお互い別の授業に行く。
そのことに少しホッとしてしまった。
別教室に行くためにAと別れる。
じゃあね、と言って走り出すと、
『たらこ！私は応援してるから！』
こっちに向かって親指を立てて笑っていた。
「おーありがとー」
そう言って、立ち去って行った。
"応援"ねぇ、その言葉に痛んだのか、
ご飯の後にいきなり走ったから痛んだのか。
帰るまでには治さないと。
.
続く (更新停止中)
お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←第26話
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 149人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
くろあ - すごい…！gtさんが昔を思い出すところは泣けた…！！！これからの更新楽しみにしてます！応援させてください！ (2021年8月15日 22時) (
レス) id: 008344802c (このIDを非表示/違反報告)
る(プロフ) - ろとさん» ありがとうございます！嬉しすぎるお言葉です！亀更新ですがよろしくお願いします！ (2020年9月16日 19時) (レス) id: 81b5ab5178 (このIDを非表示/違反報告)
ろと(プロフ) - すごい面白いです！展開めっちゃ気になります！！更新楽しもにしてます！ (2020年9月13日 16時) (レス) id: 7075e77ef1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：る | 作成日時：2020年9月5日 0時
