第24話 ページ25
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「まさかこんなところで会うとはなー」
『ねー、こんなことってあるんだね』
話す度に思う。
こんな大切なことをなぜ忘れていたのか。
懐かしさに浸っていると、ある事に気づく。
『たらこに出会わなかったら、
ぐっちにもまた会えなかったかもね』
中学の時にたらこと出会って、
ダンスを褒められネットの活動を進められ、
踊り手として活動できているのもたらこのおかげ。
「そう考えるとAがたらこと出会って、たらこが俺らに出会うのって運命みたいなもんなんかな」
『...ぐっち、熱でもあるの』
ぐっちが“運命”とか使うなんて怖い。
何か変なもの食べさせちゃったのかな。
「ねぇよ!“運命”くらい俺だって言ってもいいだろ!」
『あはは!似合わなっ!』
「笑いすぎだろ!」
こんな風に言い合っていることすら懐かしく思える。
本当に昔一緒にいたぐっちなんだなと改めて感じた。
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「そろそろ帰るかー、突然来ちまってわりぃな」
そう言われ時計を見ると時刻は23時を指していた。
思い出の密度が濃すぎて、数時間じゃ話し足りない。
『ううん、また来てね』
「おう、カレー美味かったわ」
『ぐっちも一人暮らししてるんだから自炊くらいすれば?』
「してるよ、お湯沸かしたり」
『どうせカップ麺でしょ』
悪いかよ、と不貞腐れている。
ぐっちが立ち上がり、玄関へと向かう。
『じゃ、またね』
そう言うと、靴を履いている動きを止めて顔を上げる。
少し静止した後、あはは!と高笑いをし出す。
こちらからは背中しか見えないので、
ただただぐっちが狂っているようにしか見えない。
『...ぐっち?』
笑い疲れたのか、一息ついてこちらを向く。
「...お前ほんと変わんねぇな」
『へ?』
「じゃあ、またな」
『え、ちょ!ぐっち!』
何のことについて言われたのかはっきりしないまま、
ぐっちは扉の外に出る。
気になり、慌てて追いかける。
『どういうこと!?』
「ん?何でもねぇよ、外いたら風邪ひくぞ」
『気になるって!』
「...“またね”って昔からよく言ってたよな」
『そう、だっけ?』
自分では意識していなかったから気づかなかった。
「超会議の時に感じた違和感も今やっと理解出来たわ」
『へーやったじゃん』
「誰のせいで悩んだと思ってんだ」
『悩んでたの?』
「悩んでねーよバーカ」
『理不尽だ』
またな、と一言残してその場から去って行った。
またすぐに会える気がして足取り軽く部屋に戻った。
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くろあ - すごい…!gtさんが昔を思い出すところは泣けた…!!!これからの更新楽しみにしてます!応援させてください! (2021年8月15日 22時) (レス) id: 008344802c (このIDを非表示/違反報告)
る(プロフ) - ろとさん» ありがとうございます!嬉しすぎるお言葉です!亀更新ですがよろしくお願いします! (2020年9月16日 19時) (レス) id: 81b5ab5178 (このIDを非表示/違反報告)
ろと(プロフ) - すごい面白いです!展開めっちゃ気になります!!更新楽しもにしてます! (2020年9月13日 16時) (レス) id: 7075e77ef1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:る | 作成日時:2020年9月5日 0時