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Dream 8 ページ8

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ん?え?何で黒尾くん?

確かに黒尾くんもバレー経験者であるけれど
それは京治くんも同じわけで。


なぜ胡散臭いあの人?






《もしかして今黒尾さんが何してるか知らない感じですか?》

「あ、うん、知らない…」

《……あー、そういうことか》

「え?」

《あ、いえ、こっちの話です。
取り敢えずあとで黒尾さんの連絡先送っときますね》






あ、原稿できたみたいなので、と言って
私が答える間もなく通話は切られた。

何故黒尾くんの名前がでてきたのかよくわからないまま
京治くんがダメなら次は信行に、と思い
メッセージを入れようとしたその時。



京治くんから一件のメッセージ。

その内容は11桁の数字。





「……なーんで電話番号なの、」





あらゆる連絡先がある中でなぜ電話番号なのだろうか。

京治くんのことだからきっと電話のがシンプルで効率よく
私の仕事に役に立つと思ったのだろう。

でも、昨日の今日で電話は無理で、京治くんの気遣いが仇となっている。


京治くんにな申し訳ないが
送られてきた電話番号を無視して信行に連絡をいれる。




仏の人間版である信行のことだ。
信行こそ、ふたつ返事で了承してくれるだろう。




と、思ったのに。






結果は京治くんと同じだった。

《黒尾のが適任だね》と一言。





他にバレーボールに詳しい人など知らない私は
数字11桁と睨めっこするしかない。


独学という選択肢もあるがそれは余りにも非効率過ぎるし
2人から黒尾くんがいいと言われため
黒尾くんが一体何者なのか気になるのも事実。


私情がどうてあれ仕事のためにも
この番号の先に繋がる媒体を使ったがいいのだろうか。


ボタン1つ押すのに時間がかかっている理由は
黒尾くんが昨日残した言葉のせいであるのは確実だ。


……あー、違う違う。

あれは事実なんかじゃなくて、夢だ夢。
胡散臭さに騙されてみた夢なのだ。


もう何度目かわからない言い聞かせをして
自分の中でこれは仕事だ、とスイッチを入れ直す。


京治くんの気遣いが無駄にならないよう
送られてきた電話番号を押し相手が応答するのを待つ。




これは仕事。仕事の一環。

無機質な音が響く中でもう1度、そう言い聞かせる。






《はい、もしもし》

「あ、」




黒尾くんが、電話に出た。

でも何かがおかしい。





《どちら様ですか?》

「あ、あの、」

《なーんてね》








「なんの用事かな?阿川さん」




詐欺師は時すでに後ろにいた。

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作者名: | 作成日時:2023年6月30日 15時

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