Dream 7 ページ7
.
｢……凄い、｣
部長から渡された資料の中に1枚埋もれていたチケット。
今回はとりあえず見ておいで、と伝えられ
代々木競技場第1体育館まで向かうと時すでにゲームは始まっていた。
行われていたのはV.LEAGUEの試合。
シュヴァイデン アドラーズ とEJP RAIJINの対決。
高校のとき、春高の応援に全校で行った経験はあるけど
バレーボールのルールはよくわからない。
それでも、点が入る度に湧き上がる大歓声と長く続くラリーから
バレーボールの人気具合と選手のレベルの高さを思い知る。
なんで春高のときもっと真剣に見なかったんだろう。
記事を作るにあたって、これからルールを勉強すればいいのだが
高校のときから知っていれば春高を見たという経験が
もっと効いてきたはず。
きっと今試合している選手の中には
春高に出場していた人もいるだろうし。
……京治くんとか信行に聞いて勉強しよう。
昔のことを思い出して後悔しても意味がない。
何か伝える仕事がしたいと思って様々なことに興味をもってきたが
その何かがスポーツになるのは初めてだ。
早速、昨日会ったばかりの新郎に連絡をいれる。
仕事に追われてスマホなんて見てないかもしれないが
行動が早いことに越したことはない。
《もしもし、Aさんどうかしましたか？》
｢あ、京治くん。仕事中にごめんね。今時間大丈夫？｣
《はい。原稿待ってるだけなので大丈夫ですよ》
｢よかった。あのね早速なんだけど、｣
《Aさん、もしかしてバレー見に行ってます？》
｢え、｣
《周りの騒がしい感じでわかりますよ》
僕もよく木兎さんの試合見に行ってますから、と続ける京治くん。
《それにしても、なんでAさんがバレーボールを観に？》
｢あ、仕事で来てて｣
《そうなんですね。あれ、でもAさんって社会部でしたよね？》
京治くんは出版社に勤めてるから新聞社の仕組みについても詳しい。
臨時で異動になったことや今回の仕事の内容を話し
続けてバレーボールのルールを教えてほしい旨を伝える。
京治くんのことだから、ふたつ返事で了承してくれるだろうと思ったのだが。
《たぶん黒尾さんのがいいと思いますよ》
｢え？｣
京治くんから出てきたのは胡散臭い詐欺師の名前だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 224人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：倫 | 作成日時：2023年6月30日 15時
