Dream 16 ページ16
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集中しすぎたのか、隣にいたはずの佐藤さんは気づけば選手の元へ移動しており、インタビューをしていた。
その様子を見ながら、自分もそのようにできないかタイミングを探っていた、そのとき。
「あ！あかーしのお姉ちゃんだ！」
「え、」
声をかけてきたのは、以前妹の結婚式で会った木兎選手。
「？誰のお姉ちゃんて？」
「え！赤葦さんおねーさんいたんすか？！」
木兎選手の言葉に宮選手と日向選手が反応して、こちらに向かってくる。
「この間あかーしの結婚式いたよな？」
「あー、あかーしってぼっくんの後輩か？」
「そうです！冷静沈着って感じで木兎さんのお母さんみたいな人です」
「あーじゃ、ぼっくんのオカンのおねーさんってことか？って、なんやねんそれ！」
「……あ、あの、」
会話のテンポの速さと少し遠くで見ていたものが近くに来て迫力がすごいからか、言葉が出ない。
せっかくインタビューできるタイミングかもしれないのに、心の準備ができていないせいで、ただ慌てふためく。
「おい、木兎、誤解を生むような言い方をするな」
そんな私を見兼ねたのか、間に入ってきてくれたのは、夜久くんで。
木兎選手と私の間に立ちながら、日向選手や宮選手に京治くんと私の関係について説明していく。
「ま、要するに、この方は赤葦の奥さんのお姉さん、な」
「おい！ぼっくんややこしい言い方すんなや！お姉さんでも義理のお姉さんやないか！」
「え？でも間違いではないでしょ？」
「そーやけど！！」
天然ボケな木兎選手にツッコミが止まらない宮選手。
宮選手の方が年下なはずなのに、このように漫才のような会話ができるということは相当仲が良いのだろう。
時すでに黒いメモに今すぐ書き残したいところだが、夜久くんが隣にいるので何となくそうできなかった。
「阿川さんごめんな、ビビらせて」
「いや全然、！」
バレー選手の中では小さい方かもしれないが、私よりも背は当たり前に大きい夜久くんは、少し下に顔をかたむけてそう謝る。
まだ選手の前で挨拶すらしていないにも関わらず、この間結婚式にいたからなのか、夜久くんも当然かのように私の名前を口にしていて。
______ 研磨以外の音駒生で阿川さんのこと覚えてない奴なんて多分いないと思うよ
蘇ってきたのは結婚式の帰り道に言われた詐欺師の言葉で。
まさか、そんなわけない、とまた心の中で否定した。
続く (更新停止中)
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作者名：倫 | 作成日時：2023年6月30日 15時
