Dream 2 ページ2
.
何故、私の名前を覚えてるのだろう。
たった一つの疑問が私の頭の中を埋めていく。
｢……は、はじめまして｣
｢あーれ。もしかして俺のこと覚えてない？｣
｢……バレー部の方ってことだけ知ってるかな｣
語尾を泳がして一旦知らないフリ作戦で通しながら
他の音駒生がいないか会場全体を見渡す。
必死にキョロキョロしている私が悪目立ちしたのだろう。
怪訝な顔をしているプリン頭の子と目が合う。
｢クロ、いきなり女の人ナンパするのやめなよ
さすがに気持ち悪すぎてムリ｣
｢俺は研磨をそんな悪口言う子に育てた記憶はないんですケド｣
私自身に対して怪訝な顔つきをしたのかと思ったが
そうではなく私の目の前にいる黒尾くんに対してだった。
｢あーと、これナンパじゃないから。同級生との感動の再会だから｣
｢相手の方はそう思ってなさそうだけど｣
｢…｣
｢ごめんねクロが。胡散臭かったでしょ｣
プリン頭の男の子が私に向かってそう謝る。
どこか見覚えのある顔だとと思いながら
黒尾くんの隣をよく歩いていた幼馴染くんであることに気づく。
勝手に無愛想な子だと思っていたが、周りのことをよく見ている人のようだ。
｢A、久しぶり｣
｢！！
信行！久しぶり！｣
｢早速詐欺師に引っ掛けられそうだったんだね｣
｢菩薩みたいな顔でサラッと俺のこと詐欺師って言うのやめてくんない？｣
はは、冗談だよ、と信行が黒尾くんに返す。
ここまでの会話の流れから私が黒尾くんに抱いていたイメージは
彼と仲の良いバレー部の皆と同じで昔から変わっていないらしい。
｢海くん、｣
｢お、研磨。久しぶり｣
｢うん、久しぶり。海くん、この方と知り合いなの？｣
｢そう、元クラスメイト｣
｢……へぇ｣
研磨と呼ばれる幼馴染くんが怪しげに笑う。
先程の怪訝な顔とは少し違い何か面白がって企んでいそうな感じで、何となくその場から逃げた方がいいような気がした。
｢の、信行！私お腹すいた！｣
｢はは、そんな大きな声で言わなくても｣
｢早く取りいこ！｣
｢焦んなくてもご飯は逃げないよ｣
信行の手をひいて急いで2人から離れた。
.
｢あの方なんだね、クロが言ってた人｣
｢……いつの話してんのかな、研磨クン｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 224人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：倫 | 作成日時：2023年6月30日 15時
