Dream 1 ページ1
.
｢凜、結婚おめでと｣
｢お姉ちゃん、ありがとう｣
結婚式が一通り終わって、2次会のパーティ会場に移る前に
今日の主役達がいる控え室に向かった。
お祝いの言葉を改めて述べれば
白いウエディングドレスを纏った凜が幸せそうに笑う。
今まで見てきた凜の中で1番綺麗だ。
ここまで凜を幸せに導いてくれたのは
高校時代からの同級生だという隣にいるお相手。
｢Aさん、今日は来てくださってありがとうございます｣
バレーボールをやってたおかげか脚が長くスタイルの良い彼は
白いスーツがよく似合っている。
今はバリバリに出版社で働いているらしい。
｢こちらこそ凜のことをよろしくね。京治くん｣
｢はい。僕は凜のスターでずっと居続けます｣
｢ふふ、頼もしい｣
私の年子の妹である凜は昔からとても気遣い屋さんで
少しムリをして気持ちを隠してしまう節があった。
けれど、梟谷高校に入学して京治くんに出会ってからは
これまでが嘘かのように素直で自分に正直に生きる子になった。
いいな、私もそんな運命の相手に会いたい。なんて。
｢Aさん、音駒高校出身でしたよね？｣
｢うん、よく覚えてるね｣
｢これからの2次会では音駒の方も何人か呼んでますよ。
高校のときよく一緒に試合してお世話になったので｣
｢……へぇー、そうなんだ｣
｢音駒のバレー部の方で仲良い人とかいました？｣
音駒高校男子バレーボール部。
私たちの代は3人しかいなかったが春高に行くような強豪チームだったから、それなりに有名だったと思う。
実際に黒尾くんは学年の中でも特に目立つ存在だった。
｢信行とは2年間同じクラスだったから仲良しだったよ｣
｢そうなんですね。海さんと思い出話でもしてくださいね｣
｢うん、そうする｣
でも、私が1番関わりを持っていたのは信行で
黒尾くんとは1年のとき同じクラスだっただけだ。
1年生のときは黒尾くん特有の胡散臭さが少し苦手だった、というのもあってほとんど会話した記憶はない。
だから信行と久しぶりに話したいなって思って2次会に行っただけなのに。
｢お久しぶりだね、阿川サン｣
会場に着いた途端話しかけてきたのは黒尾くんだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 224人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：倫 | 作成日時：2023年6月30日 15時
