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episode 7 ページ7

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クラスで遅れている人はいないか注意しながら
一歩一歩足を進める。

山登りのためある程度舗装されている道ではあるが
傾斜が大きく疲れは溜まっていくばかり。





「A〜、もう無理、歩けない」

「あともう少しだから頑張って、沙羅」





班の中で1番遅くなっていた沙羅の手を握って
引っ張りながら歩く。

正直この状態で山頂を目指すのはしんどい。





「私沙羅よりもたぶん体力残ってるから
遠慮せず私の手掴んでていいよ」





それなのにまたこんな嘘をつく。





「Aありがとう!」





でもそれで沙羅が笑うから。


この無意識に出る嘘つきの性格も
"八方美人"って言われる理由なのかもしれない。


少し先を進んでいた赤葦くんの視線が
こちらに向いていることからそう思う。









「じゃ、阿川さんはこれ握って」









急に空いてる方の手に握らされたのは
赤葦くんのリュックのひも。






「いや、いいよ。大丈夫だから」

「人の親切を断るの?」

「赤葦くんに迷惑かけたくないし」






『私』の笑顔を貼り付けながら
握らされていたものを離そうとすると
大きくて綺麗な指先に止められた。








「俺は阿川さんよりもたぶん体力残ってるから
遠慮なく掴んでていいよ?」

「………っ、」






私と同じ言い分を使ってくるあたり卑怯でずるい。


こう言うことで何も言い返せなくなるとわかってる。

そして私の体力が限界に近いこともきっとお見通し。








「……ほんとすごい観察力」

「今回も良い方向に働いてるでしょ?」

「…そうですね」







またその瞳に見透かされたことが少し悔しくて
思いっきりひもを引っ張ってみる。

ちょっとした仕返しのつもりだったのに。






「なに?手の方がよかった?」

「いいえ」






微動だにせず余裕そうな顔で返されただけ。

………ほんと嫌だこの人。




2人きりでなくても至って赤葦くんが通常運転って知ってたなら






「A、赤葦くんと仲良しだね」






こんなこと沙羅に言われなかったかもしれない。

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(プロフ) - カルマさん» ありがとうございます!コメント嬉しいです!頑張りますっ......! (2020年6月19日 23時) (レス) id: 48fe9f4fbb (このIDを非表示/違反報告)
カルマ - この作品大好きです!完結まで頑張ってください! (2020年6月19日 20時) (レス) id: 7ca463c807 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年5月2日 0時

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