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episode 45 ページ48

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《それでは、競技を開始します》


アナウンスと共に前方の方からピストル音が聞こえる。







「赤葦くん」








私が名前を呼んだ瞬間、周りの音や動きが止まったような感覚に陥る。


今、この空間には私と赤葦くんだけ。


どうか、全部伝えるまでそのままでいさせて。









「最近の赤葦くんを見てたら私すごい辛かった。

何も出来ない自分にも、頼ってくれない赤葦くんにも
腹が立って苦しかった。

去年から赤葦くんはこの気持ちを私に対して持ってたんだよね。

ありがとう、気づかせてくれて」









もう充分わかった。

あなたの優しさと気遣いに依存することはないって。



優しさと気遣いで自分の身を削るような人に
私の欲しかった隣は埋められない。

そんな人の隣は苦しいだけ。




私の隣は依存関係じゃなくて
お互いに本音が言えて支え合える人じゃないとダメって
あなたのおかげで気づいたの。









「……っ、さっきからAは何言ってるの?

俺はお礼を言われるようなことは何も、」








直接言葉をぶつけてもまた無理して笑う赤葦くんがいて
どうしたら私の思いは完全に伝わるのだろう。







「知らないフリなんてやめて。

……赤葦くんの自己満に私は助けられたよ。

自己満だって言うところが赤葦くんの優しいところ」




「……俺は優しくなんかない。ほんとにただの自己満だから。


…………それに、俺はあくまでもきっかけにしかすぎない」








…きっかけ?








「俺はAが今までの自分を壊せるようにヒビを入れただけ。

1番大切なことを気づかせたのは俺じゃない。


……完全に壊してくれたのは"スター"でしょ?」





「…っ、どうしてそう思うの?」





「だって、俺の隣にいるAは何かに怯えているように見えたから。

でも、昨日見たAは違った。
何にも怯えてなんかいなくて吹っ切れたような顔してた」




「っ!」






何で忘れていたのだろう。
赤葦くんは鋭い観察力を持った人だって。


私が何かに対して怯えてるって気づいてもおかしくなかったのに
その"何か"は"依存"だとはっきり言わなかったから。


そして、昨日木兎先輩のおかげで自分に向き合えて
気持ちが楽になったから。




この2つの事が原因で勘違いがうまれてしまったんだ。







「…っ、違う!それは」






《借り物競争もあと2レースとなりました!》







今日は味方だと思ってたのに。

神様は意地悪だ。

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(プロフ) - カルマさん» ありがとうございます!コメント嬉しいです!頑張りますっ......! (2020年6月19日 23時) (レス) id: 48fe9f4fbb (このIDを非表示/違反報告)
カルマ - この作品大好きです!完結まで頑張ってください! (2020年6月19日 20時) (レス) id: 7ca463c807 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年5月2日 0時

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