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episode 44 ページ47

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《借り物競争に出場する人は集合してください》



招集係の声を聞いてから
予行練習で指定された集合場所へ向かう。

先程の頼み事に沙羅は二つ返事で了承してくれた。

未だに隣で理由を聞いてくるけど。






「別に代わってもバレないと思うけど、何で?」


「…今は時間ないからあとで、説明するよ」








理由を教えてないから少し拗ねたような顔を見せたけど
急にその表情はひらめき顔に変わる。







「あ!わかった!わかっちゃったよ私!」








200m走を終えてそのまま移動してきたからか
私たちよりも先に集合場所にいた人物を指さす沙羅。


誰かさんと似ている変な勘の良さに取り敢えず首を縦に振って
これ以上深堀りされる前に沙羅のもとから離れる。







沙羅と代わってもらった私の走順は1番最後。



そして、隣を走るのは








「……あれ、隣Aだったっけ?」









赤葦くんだ。









今日こそは、伝えたいこと全部言葉にする。
言葉足らずなんかで終わらせたくない。


走る順番が来るまで、私の話を静かに聞いて欲しいの。









「沙羅に代わってもらったんだよね」


「……そうなんだ。
毎年最後の走者の借り物はクセあるらしいよ。頑張ろうね」









苦手だったはずの瞳と視線が絡んだかと思えばすぐに逸らされる。

昨日背を向けたように、またそうやって人の話聞かないつもり?



私の隣から離れられない今、そんなことさせないけど。









「今の赤葦くんはどっかの誰かさんに似てるよね」


「…なに急に」



「木兎先輩がそう言ってた。

誰かさんってどこの誰のこと言ってるんだろうね」









だんだん周りが借り物競争に出る人で多くなっていく。


前までの私なら周りを気にせず話を続けようなんて思わない。


自分のしたいことをしていいんだよって気づかせてくれたのは
間接的だったとはいえどもあなただから。


私は周りを無視して自分のしたいことをするよ。









「私の予想では"わざと"だと思うんだよね。
赤葦くんがそこまでして誰かさんに似ろうとしたのは。


誰かさんは自分のことが見えない人だから
1回分からせてあげたかったんでしょ?









………赤葦くんから見て去年の私はこう見えたよって」









知らずのうちに自分の首を絞めていた私自身を
言葉じゃなく目で見えるようにしてくれた。


そんなあなたの"自己満"に私はお礼が言いたいの。

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(プロフ) - カルマさん» ありがとうございます!コメント嬉しいです!頑張りますっ......! (2020年6月19日 23時) (レス) id: 48fe9f4fbb (このIDを非表示/違反報告)
カルマ - この作品大好きです!完結まで頑張ってください! (2020年6月19日 20時) (レス) id: 7ca463c807 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年5月2日 0時

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