episode 43 ページ46
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あのあと、リハーサルが終わってから
もう一度赤葦くんと話そうと試みたものの
"責任者"という役割が彼に暇を与えてくれず
2人きりになる機会は訪れなかった。
付き合いたくなかった自惚れも止められず
新たに生まれてしまった誤解も解決しないまま
本番を迎えてしまった。
｢A、元気ないね｣
｢…あ、暑さにやられたのかも｣
青組テントへ移動していると
一緒にいた奈々から心配の声をかけられて
誰かさんと同じ言い訳をして誤魔化す。
ただ、今気になるのは赤葦くんのことだけ。
まだ仕事が残っているのか、テント内に姿はない。
｢たしかに今日暑いもんね。
もし競技出れなさそうなくらい具合悪くなったら言って。
私代わりに出るよ｣
｢うん、奈々ありがとう。
でも大丈夫。私個人で出るの借り物競争だけだし｣
｢…あぁ、そっか。
皆借り物競争嫌だからA出ることになっちゃったもんね。
沙羅は自分から出たいって言ったけど｣
大勢の人の前で大声を出さなければならないが故
借り物競争は不人気で中々決まらなず
沙羅が出るならっていう流れで仕方なく手を挙げてしまった。
正直言って、私も嫌なのだけど。
恐らくこういうところが
"自分の首を絞めている"と言われる原因なのであろう。
……まぁ、そう言ってきた当人も
私と同じような形で借り物競争に出ることになったけど。
テント内を気にしながら偶に友達の応援をしてを繰り返していると
体育祭も午前中の中盤に差し掛かる。
｢赤葦！次200m走だって！｣
｢うん、わかった｣
"責任者"かつ"応援団"でバレー部の赤葦くんは
運動神経の良さから出る種目も多く
青組テントに戻ってきてもすぐ姿を消してしまう。
本番当日も忙しい彼に接触できる機会は
恐らく午前中最後の種目、借り物競争のときしかない。
｢あ、沙羅おかえり。100m走1位おめでと｣
｢奈々ありがとー！
A、借り物競争も1位目指そうね！｣
貴重なこの機会、逃すわけにはいかない。
｢沙羅、ちょっとお願いがあるんだけど、｣
今まで神様が操っているかのようなタイミングの悪さに邪魔されてばっかりだったけど
今回は神様が味方してくれているようだ。
｢私と順番代わってもらっていい？｣
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倫(プロフ) - カルマさん» ありがとうございます！コメント嬉しいです！頑張りますっ......！ (2020年6月19日 23時) (
レス) id: 48fe9f4fbb (このIDを非表示/違反報告)
カルマ - この作品大好きです!完結まで頑張ってください! (2020年6月19日 20時) (レス) id: 7ca463c807 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：倫 | 作成日時：2020年5月2日 0時
