episode 39 ページ42
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「お、やっぱり先生いないな」
「…そうみたいですね、」
話の続きを聞きたいと答えると
長話になるからと言って連れてこられたのは保健室。
この時間は明日の本番に向けて
保健室の先生は救護室の設営をしているらしい。
どこから得た情報なのかは知らないけど。
この間保健室に連れてこられたときと同様に
座ってという木兎先輩の指示に従って腰を下ろす。
隣に木兎先輩も座る。
「Aはクラスでの赤葦は親切だって言ったよな」
「はい、」
「何でそう思うの?」
「……何でって、」
「気遣いが上手いから、だろ?」
核心をつくような、物言いに何も言い返せない。
赤葦くんか"八方美人"な私を気にかけてくれるのは
気遣いからくる"親切"さが所以だと思ったのは事実だ。
「Aも相当な気遣い上手だって聞いたよ、赤葦から」
「…っ、」
「確かに2年6組の教室で会ったAの笑顔は嘘っぽいなって思った」
_____『笑顔貼り付けてるって感じするな!』
鮮明に覚えているこの言葉。
「………そういえば、何で木兎先輩は2年6組に来たんですか?」
「赤葦に来ればいいって言われた!」
「…え、」
「恩人ちゃんの名前教えてって言ったら
本人に聞けって赤葦が言ったからな!」
「!」
何となくだけど直接会うよう仕向けた理由は推測できて
私と木兎先輩が偶然知り合わなくても
いつかは私が木兎先輩という人を認識するよう
赤葦くんは仕掛けるだろうなって思う。
「赤葦と知り合った頃はよくわからなかったけど
今思えば赤葦もあの頃はAと似たような笑い方してた。
ま、今はそんなことねぇけどな!」
教室とは違う部活での赤葦くんが存在する理由は
きっと私を木兎先輩と知り合いにさせたかった理由と同じ。
「部活での赤葦はちゃんと笑ってる!」
そう言ってちゃんと笑う木兎先輩が
全力で真っ直ぐな人だからだ。
この人なら本音をぶつけても
偽りのない本音が返ってくるってわかるから。
いや、逆かもしれない。
真っ直ぐな言葉を投げられて
こっちも全力で返さなきゃいけないって思わされるから。
木兎先輩が私と正反対だからってだけじゃなくて
そういう貴重な相手を部活で見つけられて
本音を言うことの大切さを知っているからこそ
赤葦くんは『私』を壊しに来てくれたんだ。
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倫(プロフ) - カルマさん» ありがとうございます!コメント嬉しいです!頑張りますっ......! (2020年6月19日 23時) (レス) id: 48fe9f4fbb (このIDを非表示/違反報告)
カルマ - この作品大好きです!完結まで頑張ってください! (2020年6月19日 20時) (レス) id: 7ca463c807 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:倫 | 作成日時:2020年5月2日 0時