【HQ】赤葦くんは例外でした。

episode 38 ページ41

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体育祭前日。

大体の準備は昨日で終わっているため
今日はパレードなどの最終確認のみ。

"最終確認"だからこそ
今日1番忙しいのは確実に責任者。

それに応援団のリハーサルももう一度実施されるらしい。


昨日嫌いだなんて言ったにも関わらず
気づくと視界にいるのは忙しなく働く当人。



_____『もう少しだけ俺の自己満に付き合って』





思い出すこの言葉にどうしたらいいのかわからなくて
ただ眺めることしかできない。


考えても行動に移せない自分に嫌気がさして
とりあえず視界を変えようと教室を出る。







｢あ、A！｣


｢…こんにちは｣






階段を下りると肩に学ランをかけた木兎先輩と鉢合わせる。






｢昨日はありがとな！
おかげでリハーサル間に合った｣


｢それはよかったです、役に立てたみたいで｣


｢Aは昨日頑張れた？｣


｢………え、？｣


｢覚えてねーの？
この間言ったじゃねぇか。がんばれよって｣






______『がんばれよ！A！』

思い出されるのは教室で耳打ちされた際
最後に言われたこの謎の言葉。








｢……どういう意味ですか？がんばれって｣


｢ん？そのままの意味だけど｣


｢そのままの意味じゃわからないから聞いてるんです｣


｢ははっ、その聞き方赤葦みてぇだな｣






昨日も似たようなこと言って木兎先輩は笑っていた気がする。


_____『Aと赤葦って似たもん同士だな！』


……どこが似てるんだろう。








｢赤葦と同じにするなって顔だな｣


｢ち、違います。
ただどこが似てるんだろうって疑問に思っただけです｣


｢どこがって………全部？｣


｢は、｣





真顔で答えをくれたものの謎は深まるばかりで
木兎先輩に聞いたのが間違いだったと溜息をつく。

この御方の思考回路を私がわかるはずない。





｢わかりやすく溜息つくなよ。そういうとこも赤葦みてぇ｣


｢……ソウデスカ｣



｢何だもう俺の話興味ねぇって感じだな。

んー、じゃあこの前の続きを教えてやろう｣



｢……この前？｣



｢部活での赤葦がどんなか気にならねぇ？｣





_____『部活での赤葦はな、』


体温計の音が邪魔をして聞けなかった続き。






｢…気になります｣

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