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episode 30 ページ33

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初めて崩れてしまったものに自分自身困惑して
どうすることもできないまま気づいたら学校近くの公園にいた。


二人の間に流れるのはブランコが揺れる音だけ。


そこにもう1つ音を足すために口を開く。





「………赤葦くんって何者なの?
高校生とか嘘でしょ。ほんとはメンタリストなんじゃないの?」


「急にどうしたの」





解放された私の本音は次々と口から出たいと疼く。

この初めての感覚に困惑と恐怖がまだ残っているものの
流れに身を任せてみたいと思う自分の方が勝る。





「人前でこんなに大泣きするとかほんといつぶりって感じだし
赤葦くんの前でっていうのが余計腹立つんだけど」


「ふっ、急なパンチ」


「ちなみに人に腹立つとか言ったの初めてだからね」






隣でブランコを漕いでいる赤葦くんは
私に文句を言われたにも関わらず今まで見た中で1番の笑顔を見せる。


今まで人に気を遣ってばっかりで文句のひとつも言えたことなかった。

だけど文句を言っても赤葦くんは笑ってくれて。

気遣いのいらない相手が実在することに
恐怖なんて後回しでどこか擽ったい気持ちがする。







「……やっと芯の埋まったホッチキスになったね」


「赤葦くんのしつこさが実った結果ですけど何か」





しつこさ、というよりも私が脆すぎたのかもしれない。

崩されないようにと誓ったのはほんの数日前。

それに赤葦くんと知り合ってまだ1ヶ月弱。

長年の付き合いである沙羅でも無理だったのに
こんな短期間で心を許してもいいかもと思える相手が現れるなんて。


やはり恐ろしい男。赤葦京治。






「俺はもっと長期戦になるかと覚悟してたつもりだったんだけど」


「っ、私だってそのつもりだったし」





今思えば林間学校のときには既に『私』は崩されてた。

山登りの時、人に頼ったのは初めてだったし
ペットボトルを貰った時、人前で明らかに動揺したのも初めてだった。

それに私の一人の時間に足を踏み込んできたのも赤葦くんが初めてだ。





………あぁ違う。もっと前からだね。

初めて会話を交わしたあの日から
赤葦くんは『私』を崩しに来てた。

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(プロフ) - カルマさん» ありがとうございます!コメント嬉しいです!頑張りますっ......! (2020年6月19日 23時) (レス) id: 48fe9f4fbb (このIDを非表示/違反報告)
カルマ - この作品大好きです!完結まで頑張ってください! (2020年6月19日 20時) (レス) id: 7ca463c807 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年5月2日 0時

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