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episode 19 ページ20

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ゆっくり体の方向を変えると
少しだけ心配そうというか悲しそうな表情が視界に入る。

自分が今どんな顔してるのかなんてわからないけれど
赤葦くんは私と目が合っても表情は変えなかった。

きっと、私が何言っても黙って聞いてくれる。






「……赤葦くん、」


「……なに?」


「迷惑かけてごめんね」






君が私を気にかける理由。
それは君の"親切"が故でしょ?





「私林間学校のとき赤葦くんにたくさん迷惑かけたよね。
こんな頼りないホームルーム委員でごめんね」




新学期。
赤葦くんは私に向かって"八方美人"だと言った。
きっとその理由は私と真反対な性格を持つ木兎先輩と普段から接していたから。

いつどこでどのようにして
私の存在を認識したのかなんて知りもしないけど
観察力のある赤葦くんがこの性格に気づいてもおかしくない。



そして偶然同じホームルーム委員という名の括りに入れられた。




「ホームルーム委員の相方がこんなだと
気にしちゃうのも当たり前だろうし

これからはちゃんとするね」





"ペア"という重みを私はとっくの前に知っている。

"ペア"になれば相手のことを知るし
相手の足りない部分を補わなければならない。


君は私の欠点を補おうとするから
私を気にかけてしまうんだ。







「……ちゃんとするから、もう"八方美人"に構わないでいいよ」






私が口にしているのは今までの謝罪とこれからの遠慮。


あなたの"親切"さに漬け込んで全てを遠回しに否定する。


回りくどい言い方かもしれないけど
観察力を持つ者が推測力に欠けるはずがない。


私の言いたいことわかるでしょ?








「…………私にそもそも芯を埋めるような場所はないの。

だから埋めてくれる人なんていても無理なんだよ」






少しだけ、向かい側にいる表情が変わった気がした。

でもそれ以上の変化はない。






「……寝て髪崩れちゃったし私お手洗行ってから教室戻るね」





赤葦くんは私の言いたいことを理解してくれた。


隣を通り過ぎる際、引き止められなかったのが
それを示す証拠だった。


4月が終わるのと同時に何かに区切りをつけた。

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(プロフ) - カルマさん» ありがとうございます!コメント嬉しいです!頑張りますっ......! (2020年6月19日 23時) (レス) id: 48fe9f4fbb (このIDを非表示/違反報告)
カルマ - この作品大好きです!完結まで頑張ってください! (2020年6月19日 20時) (レス) id: 7ca463c807 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年5月2日 0時

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