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episode 18 ページ19

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木兎先輩がいなくなったあとベットに横になった私は
気づいたら眠りについていた。


眠りから目覚めさせたのは1時限目の終わりを知らせる音。


起き上がってみるとまだ保健室の先生はいないようで
次に耳に届いたのは携帯の通知音。







「………は、」









携帯画面を見れば
そこには嫌な予感のするメッセージ。






沙羅赤葦くんが保健室に様子見に行くって。 ちゃんとお礼言いなよ!


普段なら気づいた時にすぐ返信するのだけど
今回ばかりはそうはいかない。


この場をどうやって凌ごうか。

それだけを考えて木兎先輩のように
1つのことに集中したのがかえって仇になったらしい。









「………何、してんの」









後ろから聞こえてきたのは
ここに来ると予告されていた人物の声。






「……いや、別に何も」


「そう。
ベットから立ち上がろうとしてたってことはもう大丈夫ってこと?」


「う、うん。もう元気」







私、赤葦くんの前でどう接してたっけ?

以前の自分の態度を思い出せないぐらい
気持ちが焦ってる上に体が動こうとしない。

身構える間もなく
朝、教室でも背を向けた当人が現れたせいで
いつもは自然と機能するはずの『私』が機能しない。


わかってはいる。
後ろにいるのは制服を着た赤葦くんだと。






「………何でこっち向いてくれないの」


「……っ、」







淡々としてるけど優しい普段の声で
私の不自然な振る舞いを指摘する。


今の赤葦くんは"親切"だから
振り返らなくてもきっとこれ以上は何も言わない。







「………ごめん。
林間学校のとき変なこと言って」







………変なこと、って"自惚れ"のこと?



_________ 『俺の隣にいる阿川さんは苦しそうに見えないから』









「あの時、泣いてたから謝らなきゃって思ってた」









_________ 『…っ、勝手に自惚れないでよっ』





確かにあの時は泣いたけどそうやって謝られると
"自惚れ"をなかったことにしたいって言われているようで。


自分がするなって言ったくせになかったことにはして欲しくない。

また矛盾した気持ちが頭を巡る。

気持ち悪い。
いっそのこと全部否定したい。


これまでの赤葦くんの行動も、私の感情も。




……………今の赤葦くんは、"親切"だから許してくれるよね?

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(プロフ) - カルマさん» ありがとうございます!コメント嬉しいです!頑張りますっ......! (2020年6月19日 23時) (レス) id: 48fe9f4fbb (このIDを非表示/違反報告)
カルマ - この作品大好きです!完結まで頑張ってください! (2020年6月19日 20時) (レス) id: 7ca463c807 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年5月2日 0時

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