episode 17 ページ18
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保健室のドアを開けるも先生は不在のようで
私たち二人だけの空間に鳴り響く予鈴。
｢先生いないなら俺がついててやる！
はい、座って座って｣
木兎先輩はこの予鈴が何を示すのかなんて気にしない様子で
私に体温計を差し出した。
何を言っても無駄な気がするし(思考回路謎だし)
黙って体温計を受け取る。
｢あ、そう言えば恩人ちゃんは何年何組？｣
｢……恩人ちゃんって何ですか。2年6組です｣
｢お、赤葦と一緒じゃん｣
出てきた名前にわかりやすく心臓が跳ねる。
｢そうですね。クラスメイトです｣
｢赤葦ってクラスでどんな感じー？｣
………クラス、での赤葦くんは、
｢………"親切"ですね｣
｢へぇー！｣
自分から聞いてきた割に返ってきたのは簡素なもので
私の答えにさほど興味は持ってないよう。
何で聞いたのだろう、って思いつつ
木兎先輩の方を見ると少しだけ歯を見せて笑っていた。
｢部活での赤葦はな、(ピピッ
木兎先輩の言葉に重なるよう鳴った体温計。
今日だけで2度いいタイミングで邪魔な音が入ると
もう誰かが操っているとしか思えない。
｢どうだ？熱はあったか？｣
忘れやすく気を取られやすい性格であろう木兎先輩は
既に視線を体温計に移していて
恐らく言いかけていた言葉はもう出てこないだろう。
｢大丈夫です。平熱です｣
｢そっか！｣
｢すいません、ここまでしてもらっちゃって｣
｢気にすんな！俺がしたくてやったことだし｣
………
｢……自由な人ですね｣
｢ん？何か言ったか？｣
木兎先輩は私と真反対な人。
無意識でしてることがきっと対照的なんだ。
｢いえ、何でもないです。
それより時間は大丈夫なんですか？｣
｢…ぅあ！やっべ！
てか、チャイム鳴った？！｣
やっぱり周りのこととか何も気にしないで1つのことに集中してしまう人、それが木兎先輩らしい。
数分前に鳴ったことを伝えると慌てた様子で荷物を肩にかける。
｢ごめん、俺行くね！
ほんとはここでサボりたいけどバレたら怒られるし！
じゃー、またな恩人ちゃん！｣
静かな空間にも関わらず大声を出しながら保健室を出ていく様子を見て
どうして赤葦くんが私に"八方美人"なんて言ったのかわかった気がした。
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倫(プロフ) - カルマさん» ありがとうございます！コメント嬉しいです！頑張りますっ......！ (2020年6月19日 23時) (
レス) id: 48fe9f4fbb (このIDを非表示/違反報告)
カルマ - この作品大好きです!完結まで頑張ってください! (2020年6月19日 20時) (レス) id: 7ca463c807 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：倫 | 作成日時：2020年5月2日 0時
