episode 16 ページ17
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私は一方的に相手のことは知っていた。
そりゃそうだ。
木兎先輩は強豪バレー部のエースで有名だし。
でも何故だ。
「……えーっと、なんだったっけ、ほら、あの時の〜、」
何故、貴方様が私の顔に見覚えがあると言うのだろう。
「……んー、もう無理!
思い出せない!すまん!
お詫びとして保健室まで連れてってやる!」
「そんなお詫びとかいいですから」
貴方様がモブのような私を思い出せないのは当然のことです。
詫びが付き添いというのもいかがなものでしょう。
思考回路が謎です。
「気にすんな!具合悪いんだろ?
って、あ!」
ここ数分で2度目の大きな声に驚くと
木兎先輩は私の手元に視線を向けていた。
持っていた白い上着を恐る恐る差し出してみる。
「やっぱり!俺のだこれ!」
「ここでさっき拾ったんです」
「そうなのか!教室行く途中に気づいてからずっと探してた」
「お役に立てたみたいでよかったです」
「拾ってくれてありがとなぁ!」
朝練終わりであろうに疲れを感じさせない笑顔を見せる。
気持ち的に複雑すぎる今の私にその純粋な顔は眩しい。
落し物の持ち主も見つかったことだし
眩しさから逃げようかと思ったが。
やっぱりこの方の思考回路は意味不明で。
「詫びかつ礼として保健室まで連れて行くな!」
断る間もなく手を握られ引っ張られる。
これからSHRが始まるというのに
何も気にしてない様子で進んでいく背中は
たぶん私が一応病人だということも忘れている。
「保健室着いたぞー、ってあれ?
…………さっきよりも息上がってない?」
貴方様の歩くスピードのせいです。
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倫(プロフ) - カルマさん» ありがとうございます!コメント嬉しいです!頑張りますっ......! (2020年6月19日 23時) (レス) id: 48fe9f4fbb (このIDを非表示/違反報告)
カルマ - この作品大好きです!完結まで頑張ってください! (2020年6月19日 20時) (レス) id: 7ca463c807 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:倫 | 作成日時:2020年5月2日 0時