恋愛エクスタシー [Yuto] (ページ10)

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11. Precious you ページ10

「ねえ」

「この卵焼きめっちゃうまそうっすね。」

「ちょ,」

「あ、もしかして手作りってやつですか？」

「あの、さ」

「わあ、俺ナス大好きなんですよ」

それはギャグかなんかかい？那須くん

お昼の時間

裏庭で一人静かに食べようって思ってたその矢先

『先輩はっけーん！』

パンを片手に

ズケズケと座ってたベンチの横になんのためらいもなくちょんと腰掛けた彼は

「わあ、おいしそ」

先ほどから自分のパンそっちのけで私のなんの変哲も無い凡庸な弁当を見つめている。

「あの、食べる...？」

「いいんすか⁉」

キラキラキラキラ

純粋な汚れのない眼差しに

漏れた苦笑

お弁当箱ごと差し出せば

どれにしようかな

っておかずからおかずへと迷いを見せる視線に

男の子だなあ

なんて思ってみたり。

「じゃあ、これいただきます」

すっと綺麗な指先でつまんだのは

ナスの肉巻き

「俺ほんとにナス好きなんです」

嬉しそうにはにかむ彼の無邪気な顔立ち

「ふふ、そんなに嬉しいの？」

「そりゃそうですよ！」

はぐって

一口で彼の口のなかに咥えられたそれは

「うま...」

「ほんと？よかったぁ。」

一番の褒め言葉とともに

消えて行き、

「また、明日もここに来ますか？」

「うん、大体はここで食べるよ。」

「じゃあまた明日も一緒にお昼食べましょ」

ささやかな約束事も結んでくれた。