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正直、私は浮かれていると思う
だって、理由は分からずとも好きな人に会う約束をしてもらえたから、
もう盛大なドッキリだとしてもこんな機会なかなかない、騙されるなら思いっきり騙されてしまおうなんて考えて、約束の日、アルバムに書かれていた場所に訪れた
たどり着いた宮殿は広く、わかりやすいところにいようとする心とは裏腹に、体は視界の端に映った蔦のアーチへと向かっていた
アーチを抜けると、美しい純白の花が咲いている
この景色はあまりにも私の夢の中に似ている
『わぁ、綺麗、』
清らかな白に心奪われ、独り言を呟く
すると、背後から足音と声が聞こえた
「A、ちゃん」
その声に応えるように振り向くと、深く被った帽子を外して微笑んだヒョンジンくんが立っていた
『、ヒョンジンくん』
なんで名前を知ってるの?
なんでこの広い宮殿で、この場所にいるってわかったの?
聞きたいことが瞬時に溢れて、だけどそれらは全て“ヒョンジンくんだから”の一言で解決しそうな気がして、ただ情けない声で彼の名前を呟くことしかできなかった
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作者名:ツキ | 作成日時:2023年12月1日 22時