𝟐𝟔 ページ26
🥟
あれから2日後、なんとか完成させた作品を旦那様の元へ届けた
休息もままならない状態でひたすらキャンバスに向かっていたから、やっと解放された気持ちで体を休ませる
そういえばA様との時間も取れていなかったな
一度そう思ってしまったらたまらなく会いたくなって、でも自分から呼び出すことなんてできない
この気持ちをどうしようかと考えながら今日を過ごして、約束はしていないけど偶然会えるかもしれないと、みんなが寝静まった頃蔦のアーチを目指して自室から出た
たどり着いた僕たちだけの秘密の庭には誰もいなくて、少し寂しい気持ちになる
このままここに1人でいても虚しくなるだけだと自室に戻ろうと振り返ると、視線の先に会いたくて仕方なかった彼女の姿があった
「A様、」
『なんだか久しぶりな気がするわね、ヒョンジン』
「そうですね、すみませんなかなか顔を出せなくて、」
『大丈夫よ、お父様から何か頼まれてたんでしょう?』
「まあ、そんな感じです、」
『やっぱりね、でも会えなかったことを責めたくてここに来たわけじゃないから、気にしないでね』
「ありがとうございます」
『今日はね、偶然ヒョンジンに会えたら絶対に伝えなきゃいけないなって思ったことがあって、』
「、?」
『もし今日会えなかったら、このまま何も言わないでいようと思ったんだけどね』
全く読めない話の展開に呆然とする僕の耳に届いたのは、信じたくないけど無視することはできない、
そんな将来の話だった
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作者名:ツキ | 作成日時:2023年12月1日 22時