結婚式まで ページ9
6か月前、Aはキム先生にユンギの為にも、早く元のユンギに戻す努力をすべきだと言われ、悩んだ。
それで、キム先生も挑戦したショック療法を試みたのだ。
あの時、とにかく演技する事に夢中で、近くにはさみが有る事なんて気が付かなかった。
でも、ユンギの様子がおかしくなった瞬間、気が付いてしまった。
はさみの存在を。
ユンギがはさみで自死しようとすることは、容易に想像出来、咄嗟にはさみを取ろうとしたが、一瞬ユンギの方が早かった。
で、結果、錯乱したユンギが自分の喉に刺そうとしたはさみが、見事に自分に命中してしまいました。
と、いう訳だ。
結果、生死の境を彷徨ってしまったが、後悔はない。
でも、そのせいで、祖父ちゃんの寿命を短くしてしまったような気もする。
享年９２歳。
まあ、長生きした方だけど、自分の代わりに逝ってくれたのかもしれない。
真っ白い世界で、足元に、雲みたいなフワフワしたものが漂った世界に気が付けば立っていて、遠くに何か有るのが分かったから、そっちに行こうとしたら、
「待て。」
そう言われて、振り向いたら祖父だった。
祖父「お前はまだ、行くな。わしはそろそろお暇するよ。お前は生きろ。わしはもう十分生きたから、お前は幸せになれ。」
Aは勿論、死ぬ気なんて無く、何となく、行こうとしてた方向を見れば、祖母と母の姿が小さく見えた。
見えるわけない程、遠いのに、よく見れば遠くにあるのは白い階段で、その上に二人が微笑んでるのが見えた。
今考えても、見える距離ではない。
マサイ族並みの視力でも無ければ、、。
それでも、無理かもしれない。
でも、夢だったからだろう。
２人は微笑んでこっちを見ていた。
祖父「じゃあな。お前はあっち。」
そう言って指さす方を見た途端、目が覚めた。
そして、泣きじゃくるユンギが、覆いかぶさって来て、
A「い、いたい、、から、、やめて、、」
看護婦さん「止めて下さい！傷口に触ります。」
ボムギュ「ヒョン、、良かったです。」
その後、ボムギュが呼ばれていって、祖父が亡くなった事を悟った。
A(僕の代わりに逝ってくれたのかもしれないけど、それはあっちで謝ろう。)
と、一人、心に思った。
それから、一応、ユンギに刺されたので、事情聴取とか、マスコミ対策とか、祖父の葬儀とかとにかく、目まぐるしくて大変で、あっという間に結婚式の日がやって来た。
予約、先の方にしてて良かった。
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作者名：sumiko
| 作成日時：2020年12月13日 19時
