俺はロ〇コンじゃない。（BTS ユンギ）３ (ページ22)

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遭遇ページ22

いつも被っている帽子じゃなくて、黒いキャップを被ってつばを前に深く被り顔を隠して少し眠る。

寝ようと思うんだけど、目を閉じていると余計に頭がさえてくる。

Aがどこにいるかなんてほんと分からない。

それでも、もしかしたら、記者会見を見てくれていたかと期待してしまう。

俺が辛かった2年半。

彼女はどうしていたのだろう。

家族は色んな人に批判され、普通の生活も出来ず、離婚して一家は離散したという。

Aは俺を恨んでいるだろうか。

ユンギは体はだるく疲れているのに、リアルに自分の腕の中で自分に向けられたAの艶めかしくも可愛い顔を思い出す。

「はぁ～ダメだ。眠れね～」
ふと呟いた韓国語と共に体を起こせば、韓国語に反応して振り返った30代後半と思われる女性と目が合ってしまった。

その女性はarmyだったらしく目が大きく開かれた。

しかし、ユンギが焦った顔をしているのを見て悟ったその人はふんわり微笑むと、そっと人差し指を唇に当てて、そのまま前を向いて隣の男性と再び話始めた。

男性は振り返ることなく彼女と話している事から、彼女は俺の事を話しているわけではないのであろう。

彼女は優しい感じの人だったが、男性と面立ちが似ており、兄弟なのだろう。
楽しそうに、色々話しているようだった。

ユンギは突然の事に驚き緊張したが、何も起こらなかった事でほっとして力が抜けた。
そのせいか、猛烈。の眠気が全身を覆い意識を手放した。

次に目を置けたときは岡山駅到着のアナウンスでだった。

目の前に流れる電光掲示板が流れるのを見ながら、寝過ごさなかった事にホッとする。

目の前の二人は荷物を棚から下ろしている最中で、ユンギのキャラクターマスコットが大きなリックサックのサイドで揺れていた。

ユンギのペンで有りながら、ユンギに彼女は握手も求めず、そのまま振り返る様子も無く去って行こうとしていた。

そんな彼女がいじらしくなって、慌ててその時持っていたバンダナを持って彼女の腕を掴んで手のひらに握らせる。

振り返った彼女は驚いていたが
「コマオ」
と一礼して隣で驚いている男を急かして出口に向かって行った。

イルアミはホントシャイで可愛いなとユンギは改めて思った。

それと同時に何故か生意気にため口で話すAとその母の冷めた口調を思い出す。

「ちょっと、泣きそう。」
鳩尾あたりに鈍い痛みを感じて微かな望みにかけている自分が滑稽に思えた。